香川県議会 > 2022-02-04 >
令和4年2月定例会(第4日) 本文

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  1. 香川県議会 2022-02-04
    令和4年2月定例会(第4日) 本文


    取得元: 香川県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-31
    ▼最初のヒットへ(全 0 ヒット)   出  席  議  員    十  河     直 君    高  城  宗  幸 君    鏡  原  慎一郎  君    松  岡  里  佳 君    白  川  和  幸 君    岡  野  朱里子  君    秋  山  時  貞 君    斉  藤  勝  範 君    松  本  公  継 君    森     裕  行 君    米  田  晴  彦 君    木  村  篤  史 君    山  本  悟  史 君    谷  久  浩  一 君    氏  家  孝  志 君    高  木  英  一 君    樫     昭  二 君    山  田  正  芳 君    香  川  芳  文 君    高  田  良  徳 君    竹  本  敏  信 君    三  野  康  祐 君    新  田  耕  造 君    松  原  哲  也 君    広  瀬  良  隆 君    辻  村     修 君    石  川     豊 君    尾  崎  道  広 君    宮  本  欣  貞 君    山  本  直  樹 君    黒  島     啓 君    五所野尾  恭  一 君    花  崎  光  弘 君    大  山  一  郎 君    都  築  信  行 君    鎌  田  守  恭 君    平  木     享 君
      欠  席  議  員    西  川  昭  吾 君    綾  田  福  雄 君    ─────────────────────────────         地方自治法第百二十一条第一項による出席者           知     事    浜  田  恵  造 君           副  知  事    西  原  義  一 君           病院事業管理者    太  田  吉  夫 君           審  議  監    大  山     智 君           政 策 部 長    淀  谷  圭三郎  君           総 務 部 長    椋  田  那津希  君           危機管理総局長    寺  嶋  賢  治 君           環境森林部長     木  村  士  郎 君           健康福祉部長     土  岐  敦  史 君           商工労働部長     近  藤  清  志 君           交流推進部長     佐  藤  今日子  君           農政水産部長     新  池  伸  司 君           土 木 部 長    西  川  英  吉 君           文化芸術局長     小  川     剛 君           子ども政策推進局長  吉  田  典  子 君           会計管理者      田  中  一  裕 君           病 院 局 長    岡  田  総  一 君           デジタル戦略総室長  井手下   慶  博 君           知事公室長      尾  崎  英  司 君           教  育  長    工  代  祐  司 君           公安委員会委員    岡     みゆき  君           警察本部長      今  井  宗  雄 君           代表監査委員     木  下  典  幸 君           監査委員事務局長   田  井  慎  二 君           人事委員会委員    平  尾  敏  彦 君           人事委員会事務局長  森  岡  英  司 君           労働委員会事務局長  河  内  一  裕 君    ─────────────────────────────     議  事  日  程(第四号)                  令和四年三月十五日(火)午前十時開議 第  一 県の一般事務に関する質問    ───────────────────────────── ◯議長(十河 直君)ただいまから本日の会議を開きます。  本日の日程は、配付のとおりであります。  日程第一、県の一般事務に関する質問を行います。  谷久浩一君。    (谷久浩一君登壇、拍手) ◯谷久浩一君 議長のお許しを得ましたので、早速質問に入らせていただきます。  その前に、一言申し述べます。  本年二月二十四日、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まりました。現在も侵攻は続いており、ウクライナに対し、甚大な被害を与え続けております。このような状況に対し、強い憤りを感じるとともに、一刻も早い停戦を願う次第です。  この侵攻と激しい戦闘でお亡くなりになった方々へ心から哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われた方には心からお見舞いを申し上げます。  今日、三月十五日は、皆様方も御存じのように、昭和四十七年に制定されたオリーブの日であります。オリーブの花言葉は、皆様も御存じのとおり、「平和」であります。  改めて、一刻も早い停戦と復興、そして世界の平和を心からお祈り申し上げ、質問に入らせていただきます。  質問の一点目は、瀬戸内国際芸術祭二〇二二等についてであります。  「海の復権」をテーマとした瀬戸内国際芸術祭二〇二二の開催まで一か月を切りました。新型コロナウイルス感染症の収束が今なお見通せない中ではありますが、四月十四日の開幕に向け、関係者の方々と連携しながら準備が進められていることと思います。  さて、瀬戸内国際芸術祭の開催に当たっては、実行委員会が昨年度に策定した取組指針において、新型コロナウイルス感染症対策として、「政府の「新型コロナウイルス感染症対策基本的対処方針」及び「新型コロナウイルス感染症に対する香川県対処方針」を基本的な指針として、「新しい生活様式」や業種ごとに策定される感染拡大予防ガイドライン等に基づく適切な感染対策を実施します。」とし、香川県新型コロナウイルス対策本部決定の「イベント等の開催に係る留意事項について」を踏まえ、三密(密集・密閉・密接)を徹底的に避ける、マスクの着用、手洗いなどの手指消毒の徹底をはじめとする感染防止対策を徹底するとしておりました。  また、今定例会の代表質問におきましても、知事は、緊急事態宣言時には延期または一時中止を基本とするなど、感染状況に応じた開催の考え方や、感染拡大状況下で開催する場合の対策として、来場者の検温や発熱等の有症状者の発生時の対応などを取りまとめた指針とマニュアルを作成し、感染防止対策を徹底すると答弁をされております。  その後、今月上旬に公表した新型コロナウイルス感染症対策の指針では、ケース別の対応等を盛り込み、「作品及び施設の公開」や、「食の提供」、「案内所」など、それぞれの場面、段階における感染症対策を示すとともに、検温や体調確認の方法、開催場所となる島嶼部における有症状者発生時の対応等に関する体制を公表いたしました。  陸続きの本土側であれば、症状の程度に応じて、徒歩や自家用車、救急車等により、体調の変化に応じたタイミングでの受診が可能ですが、島嶼部においては、それぞれの島において、島内の状況や有症状者の本土側への移動の体制には違いがあることから、状況を見極めた対応が必要になってくると考えます。  開催場所の一つである豊島においては、以前は、観光客が体調を崩した場合、地元の消防団が車で港まで搬送した後、チャーター船で総合病院のある高松や小豆島へ送っていましたが、新型コロナウイルス感染リスクを避けるため、観光客の搬送を原則見合わせる状況にもなりました。  実行委員会が緊急搬送を担うことは難しいと思いますが、今後の新型コロナウイルスの感染状況がどのように推移するか不透明な状況下において、今回策定した指針の確実な実施により、地元住民や来場者の方、芸術祭開催に携わる関係者の方々が安全に参加できるような体制づくりと、県内外の方が安心して参加できると判断できるような情報の発信が必要と考えます。  感染防止対策の徹底と、有症状者発生時の対応、来場者の方への情報の発信について、知事の御所見をお伺いいたします。  また、万全の感染防止対策等を講じながら開催する場合でも、コロナ禍の中、海外からの来場者を見込むことは厳しいものと考えます。夏会期や秋会期には一定状況が落ち着いているかもしれませんが、それでもインバウンドの大幅な回復は難しいのではないでしょうか。  そうした状況を踏まえた場合、これまで芸術祭になじみがなかった層を新たに取り込むなど、国内の来場者の増加に向けた取組を充実させることが重要と考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。  最後に、本県においては、感染が拡大した一月二十一日から約二か月間、まん延防止等重点措置が適用され、措置期間は三月二十一日までとなっております。芸術祭の開催が迫る中、今週中には、政府対策本部において今後の方針が決定されると思いますが、本県の感染状況や医療提供体制を踏まえ、重点措置の期限後の対応についてどのように考えているのか、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の二点目は、太陽光パネル等の廃棄についてであります。  二〇一二年に導入された国の固定価格買取制度をきっかけとして、日本における太陽光発電は急速に拡大し、太陽光発電の累計の導入量はおよそ六千万キロワットと、この十年で二十倍以上に増えました。  太陽光パネル製品の寿命は二十年から三十年ほどと言われており、二〇三〇年代半ば以降、寿命を迎えるパネルが大量に出ると予想されることから、環境省では、二〇四〇年頃には、現在のおよそ二百倍に当たる年間八十万トンもの使用済み太陽光パネルが排出されると試算しています。  固定価格買取制度による一キロワット当たりの固定買取価格は毎年下がってはいるものの、太陽光などの自然エネルギーによる発電は、火力発電などで使用される化石燃料のような限りある資源ではなく、枯渇する心配のないエネルギーを用いることから、環境に優しく、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けて主要電源となることが期待されています。  しかしながら、太陽光パネルは厳しい自然環境にも耐えられるよう頑丈に作られているため、リサイクルのための分解には手間や費用がかかることから、廃棄する際には多くが埋立処分されると見られ、発電事業が終わってもそのままパネルを放置したり、不法投棄されたりするおそれがあると指摘されています。  国は、太陽光パネルの不法投棄を防ぐため、発電事業者に、電気を売って得た収入の一部を撤去や廃棄の費用としてあらかじめ積み立てるよう義務づける制度を設け、その積立てを今年七月に始める予定としていますが、太陽光パネルのリユースや確実な廃棄等の実施、可能な限りリサイクルできるような仕組みづくりについて、私たちも検討を行うとともに、国に対してもさらなる対策を求めていく必要があると考えます。  また、新型コロナウイルス感染症感染拡大防止対策の一つとして飲食店などに導入されたアクリルのパーティションも、コロナ収束後には不要となり、一斉に処分されることが考えられます。県は、第三者認証制度を創設し、コロナ対策の一つとして飲食店が導入するアクリルパーティション購入費を補助し、導入促進をしていますが、一方で、不要となった際の処分等についてはどのように考えているのでしょうか。  本県においても、国や市町と連携し、太陽光パネルアクリルパーティションのリユースや廃棄、リサイクルについてルールづくりを行い、環境を守っていくための対策や資源の有効活用についての検討・情報発信が必要と考えますが、今後どのように取り組んでいくのか、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の三点目は、瀬戸内海の環境を守る取組についてであります。  瀬戸内海は、本州、四国、九州に囲まれ、湾や灘と呼ばれる海や海峡によって結ばれている日本最大の内海であり、多くの島々が織りなす美しい風景や温暖な気候、豊かな自然に恵まれています。また、海を中心とした沿岸地域は、早くから文化が栄え、人と自然とが共存してきた地域でもあり、瀬戸内海国立公園として、昭和九年に雲仙、霧島とともに日本で最初の国立公園にも指定されております。  その恵まれた環境を守り、後世に残していくためにも、私たちには瀬戸内海の現状を把握し、自らの生活の質の向上と引換えに生じさせている様々な問題を解決するという課題が課せられています。瀬戸内海の環境に関する現在の大きな問題の一つが海ごみ対策であり、プラスチック製容器包装や発泡スチロールをはじめとする生活ごみが大半を占める海ごみは、景観を悪化させ、船舶航行への障害となるだけでなく、生態系を含む海洋環境に悪影響を及ぼすことから、その早急な対策が求められています。  私たちの生活の場から発生したごみが雨や風の影響を受け、主に川を通じて海へ流れ出ますが、閉鎖的海域である瀬戸内海においては外海からの流入量は少なく、瀬戸内海に面する地域が連携し、効果的な対策を実施できれば、効果も見えやすいものと考えられていました。  そうした中、令和二年十二月、本県と岡山県、広島県、愛媛県の瀬戸内四県及び公益財団法人日本財団は、瀬戸内海の海洋ごみに係る連携・協力に関する協定を締結し、共同事業瀬戸内オーシャンズXを開始しました。  瀬戸内オーシャンズXでは、調査研究、企業・地域連携、啓発・教育・行動、政策形成を四つの柱として各種取組を進め、自治体、企業、研究者や住民など、分野を横断した活動を通じ、循環型社会を見据えた瀬戸内モデル海ごみ対策として世界に広がっていくことを目指し、目標として、瀬戸内海へのごみの流入量七〇%減、回収量一〇%増を設定しているとのことです。  これまでも河川や海岸における清掃活動は、様々な団体や学校、地域住民の手によって行われてきており、ごみの回収が直接的な環境改善に役立つだけでなく、海の環境を守る活動が住民の方への啓発によりごみの発生を減らすなど、間接的な役割からも重要なものとなっています。オーシャンズXでは、それらの活動を自治体や大学、ボランティア団体などと連携することで、より効率的に行うとともに、さらなる地域の活性化につながるような取組を推進することとしており、各県独自のモデル事業を進める中で、浮かび上がった課題や成果をほかの三県とともに共有し、水平展開を図っていくこととしています。  一方で、瀬戸内海では、これまでもきれいな海を目指して工場などからの排水に多く含まれている窒素を厳しく制限し、半世紀かけて水質は大幅に改善しましたが、水質改善により栄養塩類が減少し、イカナゴの水揚げの減少やノリの色落ちが目立つようになりました。  国は、先月二十五日、瀬戸内海の環境保全に関する基本計画を改定し、プランクトンの養分となる窒素など栄養塩類の濃度を調節する管理制度の運用で「きれいで豊かな海」を目指すことを掲げました。  瀬戸内オーシャンズXの取組を、他県や関係団体との連携の下、確実に進め、プラスチックなどの海ごみの減少を図っていくとともに、生物がすみやすい環境をつくることにより、瀬戸内海の環境保全と水産資源の持続可能な利用の確保との調和と両立を図っていく必要がありますが、県として今後どのように取り組んでいくのか、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の四点目は、デジタル技術の活用と学校教育についてであります。  コロナ禍により、人との接触や移動が制限される中、テレワークやオンライン授業等により、これまでよりもデジタル技術に接する機会が増加し、私たちの意識や行動に変化が生まれ、多様で柔軟な働き方の導入や、より効率的な業務の遂行、生活の質の向上などについて前向きに検討する機運が高まっています。  そうした中、総務省が公表している令和三年度情報通信白書によりますと、日本企業のデジタル技術の導入状況に関する調査において、AI導入率は僅か二四・三%となっており、アメリカ企業の三五・一%と比較しても大きく後れを取っている状況となっております。  現在、自動車の自動運転や物流業界における倉庫業務、AIドローンによる低農薬農法、小売店における商品認識レジなどで用いられているAI技術の活用は、業務効率の向上やコストの削減、新たな商品・サービスの開発や生活の利便性の向上にもつながる可能性があることから、企業において積極的な導入が進められるべきと考えております。  企業は、AIやIoT、RPA、5Gなどのデジタル技術を活用してDX推進の取組を進めようとしておりますが、総務省調査においては、その課題として、「資金不足」や「費用対効果が不明」、「ICTなど技術的な知識不足」が挙げられており、急速に進展するデジタル化社会において、本県がほかの地域に遅れることなく取組を進めていくためにも、行政には企業の取組を支援する役割が求められております。  今後の県内企業のAIをはじめとしたデジタル技術の活用に関して、行政としてどのように取り組んでいくのか、知事にお伺いをいたします。  一方、AIなどのデジタル技術は大きな労働力となり、様々な仕事において私たちの強力なライバルとなる可能性があります。特に、ホワイトカラーと呼ばれてきた事務系の仕事において、マニュアル化しやすい、決められたルールに従って作業をするものは、AIによって代替されやすいと考えられています。  しかしながら、AIにも不得意な分野があります。コミュニケーション能力や理解力を求められる仕事で、高度な読解力と常識が必要となるものや、介護、事業開発のプロデューサーやデザイナーのような、人間らしい柔軟な判断が要求される分野では、AIでの代替が困難であり、今後、デジタル技術が進化し続けたとしても、私たち人間の力を必要とするものとなります。  私たちが、この急速に進みつつあるデジタル化社会において必要とされる人材となるためには、基礎的な読解力が必要であり、成長段階における読書などの習慣と、中学校、高校で教科書をしっかり読み、理解する力を身につけることが重要であると考えられます。ドリルと暗記で定期テストを乗り切ったとしても、テストの内容や意味を理解しなければAIと同じであり、AIにより代替可能な能力しか身につかないことにもなりかねません。  令和二年度から小学校におけるプログラミング学習が必修化され、従来の授業の中でプログラミング的思考を身につけるとともに、中学校においても今年度から新学習指導要領が全面実施となり、プログラミングに関する内容が拡充されています。  平成二十九年三月に公示された新中学校学習指導要領においては、小学校におけるプログラミング教育の成果を生かし発展させるという視点から、従前からのプログラムによる計測・制御に加えて、ネットワークを利用した双方向性のあるコンテンツのプログラミングについても取り上げることとなりました。また、高校においても、令和四年度に「情報I」が必履修科目として新設され、全ての生徒がプログラミングを学ぶようになるとともに、令和七年度大学入学共通テストから、全国立大が、一般選抜の受験生に対して、必履修科目「情報I」を範囲とした教科「情報」を課す方針となっています。  今後、急速に進みつつあるデジタル化社会において、社会に求められる人材を育てるため、学校におけるプログラミングに関する教育を充実するとともに、基本的読解力を身につける教育を進めるべきと考えますが、県としてどのように取り組んでいくのか、教育長の御所見をお伺いいたします。  最後に、コロナ禍における子供の体力向上についてであります。  スポーツ庁は、昨年十二月、全国の小学五年と中学二年を対象とした令和三年度の全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果を公表しました。公表結果によりますと、新型コロナウイルスの感染拡大前と比べて体力は一様に低下しており、男子では、全八種目の合計点の平均値が小・中とも調査開始以来最低となっています。  本県の結果を見ても、小学五年の全国での順位は男児で三十三位、女児で三十位となるなど、体力合計点が男女とも平成二十年度の調査以降で最低となっており、全国の結果同様、体力の低下が見られています。  スポーツ庁では、体力低下の要因として、新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛や、スマートフォン、ゲームの普及により運動時間が減っていることを挙げておりますが、本県においても状況は同じではないかと思います。コロナ禍において、小・中学校における部活動が中止となったり、スポーツ少年団や地域のスポーツクラブなど小学生が加入する団体の運動に制限が課せられたりする状況があり、これまでは当たり前のように行っていた、仲間同士で楽しみながら体を動かすといったことが、これまでのようにはできなくなっています。  今後、コロナ禍が収束すれば、以前の活動が再開されることにはなりますが、小・中・高校での成長期での運動習慣の形成は、将来の体力づくり・健康づくりにとって非常に重要であり、現在、学校に通う同世代の子供たちにとって、かけがえのない時期をどのように過ごすべきか、私たちは真剣に考える必要があります。  スポーツ庁は、全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果とともに、コロナ禍でも取組の継続・充実を図り、運動好きの子供たちを増やしながら体力向上に成果を上げている学校の取組事例を紹介し、取組の横展開を図ることとしています。  こうした取組も参考にしながら、コロナの感染拡大防止に努めつつ、様々な工夫を凝らした取組を行っていく必要があると考えますが、今後、コロナ禍における子供の体力向上についてどのように取り組んでいくのか、教育長にお伺いし、私の質問を終わらせていただきます。(拍手、降壇) ◯議長(十河 直君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)谷久議員の御質問にお答えいたします。
     まず、瀬戸内国際芸術祭二〇二二等についてであります。  芸術祭二〇二二の開幕に向けては、コロナ禍にあることを十分に踏まえながら、鋭意その準備を進めているところであります。  新型コロナウイルス感染症への対応につきましては、基本的な感染防止対策の徹底に加え、作品の鑑賞や食の提供などのケース別の対応、来場者の検温など、今月三日に策定した指針に沿った対策を、現場の対応まで落とし込んだマニュアルを作成して徹底することとしており、その中で、島での有症状者の発生時には、救護スペースの確保や看護師への相談体制の整備、実行委員会チャーター船の活用を含めた密にならない状態での移動など、適切な対策を地元市町とも緊密に連携し、講じてまいります。  こうした取組を島民の皆様に丁寧に御説明した上で、広く情報発信に努め、島民、来場者双方の安心につなげるとともに、来場者に向けて、会場の多くが医療体制の脆弱な離島であることを十分踏まえ、体調不良時には来県、来場を控えること、発熱等の症状がある場合には鑑賞をお断りすることなどを、あらゆる機会を通じて発信してまいりたいと考えております。  国内の来場者の増加に向けましては、全国的なPRの強化やSNSの活用などはもとより、コロナ禍の中で、教育旅行やマイクロツーリズムの受皿となれるよう、各地域の身近な媒体などと連携した発信にも取り組むこととしております。  加えて、これまで芸術祭になじみがなかった層にも、日帰りや一泊二日などで気軽に来場いただけるよう、新たに、一日または二日間限定で有料作品を各一回鑑賞できるデイ・チケットを、購入しやすい価格で販売したいと考えております。  私といたしましては、島民や来場の皆様の安全・安心に十分留意しながら、万全の態勢で開幕を迎えられるよう取り組むことで、次回の芸術祭を成功に導き、本県の活力向上や発展につなげてまいりたいと考えております。  また、まん延防止等重点措置の期限後の対応につきましては、これまでの解除に際して国が示した基準を基に検討を進めてまいりましたが、最近の新規感染者数は、二つの医療機関における大規模クラスター(集団発生)分を含めて、おおむね横ばいであり、療養者数は若干減少傾向にあること、確保病床使用率、重症確保病床使用率が安定的に五〇%を下回って推移していることや、国が新たに示した考え方などを総合的に勘案し、三月二十一日をもって重点措置を解除することを国に要請したいと考えております。  重点措置の解除後につきましては、年度末の人の移動が多くなる時期になることから、感染の再拡大にならないよう、感染状況を基に、必要な対策を講じてまいりたいと考えております。  次に、太陽光パネル等の廃棄についてであります。  太陽光パネルにつきましては、発電事業の終了などによる設備の放置や不法投棄への対応は全国的な課題であることから、県では、国に対し、リサイクルシステムの早急な構築を要望しており、国においても、使用済み太陽光パネルのリユース・リサイクルを含めた適正処理を図るためのガイドラインの策定や、廃棄等の費用の確保を図るための積立制度の創設など、様々な取組が進められております。  県といたしましては、各市町と連携しながら、事業者に対し、引き続きこうした内容について情報提供や指導を行うとともに、使用済み太陽光パネルについて、全国的に広がりつつあるリユース市場や、本県でも始まっているリサイクルの取組が広く普及していくよう、県内企業における関連技術の開発や産業の育成に努めてまいりたいと考えております。  一方、飲食店等における使用済みのアクリルパーティションにつきましては、来月から施行されるプラスチック資源循環促進法により、一層のリサイクルが求められており、今後、製造事業者の自主回収による再資源化や、排出事業者によるリサイクル事業者と連携した再資源化の取組を促進していく必要があると考えております。  大手企業の中には、既に再資源化に向けた取組を始めているところもあると伺っており、県といたしましては、今後、こうした取組が地域企業にも広がるよう、国に対し、製造事業者への支援の強化などを要望していくとともに、昨年九月から開始しておりますリサイクルに関する情報提供を通じた排出事業者とリサイクル業者を結びつける取組など、適正処理の促進につながる取組を一層推進してまいりたいと考えております。  議員御指摘のとおり、太陽光パネル等の廃棄に当たり、環境の保全や資源の有効活用の観点は欠かせないものであり、私といたしましては、今後も国や各市町と十分に連携を図るとともに、事業者の方々の御理解と御協力をいただきながら、鋭意取組を進めてまいります。  次に、瀬戸内海の環境を守る取組についてであります。  瀬戸内海の環境保全につきましては、瀬戸内海環境保全特別措置法において、水質を保全するとともに、生物の多様性及び生産性を確保するなど、瀬戸内海の有する価値や機能が最大限に発揮された豊かな海を目指すとの考え方が示されており、県でも、「人と自然が共生する持続可能な豊かな海」の実現を目指し、様々な取組を進めております。  このうち、御指摘の瀬戸内オーシャンズXは、本県を含む瀬戸内四県と日本財団が連携・協力して、科学的知見とデータに基づく対策の展開を目指し、これまで、財団事業として、四県の河川におけるごみ流出のメカニズムや発生源調査、研究機関と連携したスーパーコンピューターによる漂流ごみのシミュレーション、自律航行型無人潜水機を活用した海底ごみ観測調査、さらには、人工衛星を用いた漂着ごみ量の算出などの調査研究等を実施しております。  一方、県内でも、企業・地域連携として、大学や漁協、地域コミュニティー等と連携した海洋プラスチックごみ対策のモデル事業などに取り組んでおり、今後、海域へのプラスチックごみの流入抑制対策や効果的な海ごみ回収方法を検討していくこととしております。  また、先月閣議決定された新たな瀬戸内海環境保全基本計画では、きれいで豊かな海の確保に向け、特定の海域ごとの実情に応じたきめ細やかな栄養塩類の管理や、周辺環境の保全と水産資源の持続的な利用の確保の調和・両立、海洋プラスチックごみの削減などが目標として掲げられており、県といたしましては、国の検討状況等を注視するとともに、漁業関係者など関係者と十分に意見交換を行いながら、今後の取組について検討してまいりたいと考えております。  私といたしましては、優れた景観や水産資源など多くの恵みを与えてくれる瀬戸内海の環境を保全し、後世に残していけるよう、こうした取組を含めた瀬戸内海の環境を守る取組を、今後とも積極的に進めてまいりたいと考えております。  次に、デジタル技術の活用と学校教育のうち、県内企業のデジタル技術の活用に向けた取組についてであります。  新型コロナウイルス感染症の拡大により、従来の社会経済活動が様々な面で制約され、多大な影響が生じている一方で、テレワークなど場所にとらわれない働き方や、デジタル技術を活用したビジネスモデルの変革、生産性の向上等に期待が高まっており、議員御指摘のとおり、県内企業のAIをはじめとしたデジタル技術を活用した取組を、県としても積極的に支援していく必要があるものと認識しております。  こうしたことから、県では、かがわAIゼミナールの開催により、AI技術の利活用を図るための専門人材の育成に取り組んできたところであり、今月十日にオンラインで開催した実務講習会では、百名を超える参加があったほか、産業技術センターのIoT・AI相談窓口では、県内企業からの個別相談への対応や技術導入支援を実施しております。  また、クラウド化やRPAによる事務業務の自動化や、IoTの導入による製造現場の見える化などのデジタル化を推進しようとする中小企業に対しては、専門家によるきめ細かな個別コンサルティング支援を実施しているほか、県内企業が産業技術総合研究所と連携して行うAI技術などの活用による研究開発の支援にも取り組んでいるところであり、製品の高品質化や省力化による生産性の向上などの成果も現れてきております。  私といたしましては、本県経済を支える県内企業の競争力の強化にはデジタル技術の活用が欠かせないものであると考えており、かがわ産業支援財団や産業技術総合研究所などの関係機関とも連携し、県内企業のデジタル技術の導入・活用に向けたきめ細かな支援に、引き続き積極的に取り組んでまいります。(降壇) ◯議長(十河 直君)工代教育長。    (教育長工代祐司君登壇) ◯教育長(工代祐司君)谷久議員の御質問にお答えいたします。  まず、デジタル技術の活用と学校教育のうち、学校教育の充実についてであります。  デジタル化が急速に進展する社会を子供たちが豊かに生き抜くためには、情報活用能力の育成とともに、AIでは代替できない人間ならではの論理的思考力を育成することが重要であると考えます。  情報活用能力の育成については、議員御指摘のプログラミング教育等を発達段階に応じて進めていくことが重要となります。  小学校においては、プログラミングの体験を通して、その面白さやよさに気づくことを大切にし、中学校では、生活や社会に活用されている事例を取り上げながら、身の回りから見つけた課題を解決する学習が進められております。  高校における新たな科目「情報I」では、情報通信ネットワークの仕組みや、プログラミング等によるシミュレーションを行う学習活動などが加えられ、全ての生徒が履修することとなりました。これらの学習を通して、情報技術を活用しながら問題の発見・解決に向けて探究するというこれからの社会を生きる上で必要な力を、実習活動を取り入れながら育成してまいります。  論理的思考力の育成のためには、読解力の育成が必要不可欠であると考えております。このため、全ての教育活動で言語活動の充実を図ることとしており、小学校低学年においては、文章を読む、書くといった基礎的な活動を重視するとともに、学年が上がるにつれて、図や表から必要な情報を見つけたり、資料と文書を関連づけて考えたりする力の育成に努めてまいります。  また、児童・生徒の読書離れが懸念される中、県教育委員会が今年度選定した「香川の子どもたちに贈る百冊」を活用し、読書活動を推進することとしております。  県教育委員会といたしましては、児童・生徒のICTを活用する力とともに、人間ならではの力を育てることを通し、デジタル社会に対応する人材の育成に一層努めてまいります。  次に、コロナ禍における子供の体力向上についてであります。  議員御指摘のとおり、令和三年度の全国体力・運動能力、運動習慣等調査の実技種目九項目について、小学校男子では八項目、小学校女子では三項目が平成二十年度の調査開始以降最も低い値となり、特に小学校の児童に体力低下の傾向が認められました。  また、本県児童・生徒の運動習慣については、一週間の総運動時間の平均は、令和元年度に比べ、小・中学校男女全ての区分で低くなっており、長期化した新型コロナウイルス感染症の影響により、外遊びなど、子供たちが体を動かす機会が減少し、心身ともにストレスを抱えた児童が増えていることも懸念される状況となっています。  そうしたことから、県教育委員会では、感染予防対策を徹底した上で、児童が楽しみながら体を動かすきっかけづくりを、昨年の秋から行ってまいりました。具体的には、人数や時間制限を設けるなどの感染対策を行った上で、外遊びをする日を設ける「あそびンピック in Kagawa」や、複数の小学校がオンラインも活用しながら子供同士のコミュニケーションを図り、体力向上を目指す「スポバト!」などの取組を行っています。  来年度は、これらの取組を一層充実させていくとともに、子供自身が毎週目標を設定し、鉄棒や縄跳びなど自発的に体を動かす「さぬきっ子チャレンジカード」の取組も、引き続き推進してまいりたいと考えております。  県教育委員会といたしましては、体力は子供たちの生きる力を支える上で欠くことのできない要素であることから、今後も感染症対策を徹底しながら、子供たちの体力向上に一層努めてまいります。(降壇) ◯議長(十河 直君)一般質問を続行いたします。  松本公継君。    (松本公継君登壇、拍手) ◯松本公継君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、私からは五点、一般質問をさせていただきます。  質問の第一点目は、ヤングケアラーの実態と支援対策についてであります。  私は、このヤングケアラー問題について、令和二年十一月の定例会において、ヤングケアラーの実態とその支援体制についてや、学校での把握の仕方について、私の考えを説明させていただいており、このヤングケアラーに関する問題については継続的に議論してまいりたいと考えているところであります。  厚生労働省のホームページでは、このヤングケアラーについて、法令上の定義はないものの、一般に、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っているような子供とされており、家族にケアを要する人がいる場合に、大人が担うケア責任を引き受け、家事や家族の世話、介護、感情面のサポートなどを行っている十八歳未満の子供のことを、ヤングケアラーとして紹介されているところであります。  民間のシンクタンクが、昨年、全国の要保護児童対策地域協議会に対して実施したアンケート調査の結果では、「ヤングケアラーという概念の認識をしているか」という質問に対し、「認識している」との回答が七六・五%であったとされており、一昨年の同調査の結果である四六・七%から上昇していることから、各種報道等もあったことで、ヤングケアラーという言葉や問題に対し、全国的にその認知も進んできております。  また、昨今の報道によりますと、自治体の中には、ヤングケアラーを支援するために家事を代行するヘルパーを無料派遣する事業を来年度から実施する方針を示している自治体もあるほか、国においても、このヤングケアラーに関する問題に本格的に取り組んでいくのではないかと思っております。  このヤングケアラーの問題に関しては、子供たちが自身の置かれている状況に対しての十分な認識がない場合もあることや、周囲も積極的な関与をどこまでしてよいものかといった問題もあり、その実態が正しく把握されていないことが、これまでも指摘されているところであります。  令和二年十一月の定例会でも申し上げましたとおり、行政機関や教育機関が各家庭の個別の事情にどこまで踏み込めるかどうかといった問題があることから、一律の支援策といったものは難しい実情はあろうかと思いますが、まずは実態把握を正しく行い、今後の施策につなげていく必要があります。  そこで、ヤングケアラーの実態把握について、子供たちを支える支援機関等とも連携しながら、どのようにしてその実態を把握されていくのか、知事のお考えをお伺いいたしますとともに、一昨年からの進展も含めて、今後、ヤングケアラーに対してどのような支援体制を構築していくおつもりなのか、知事の御所見をお伺いいたします。  また、ヤングケアラーの特徴として、周囲から気づきにくいということがありますが、さきの私からの一般質問に対しては、教育長から、学校での学習活動に支障を来していると分かった場合に、小・中学校、高校といった児童・生徒の年齢等にも配慮しながら、保護者や担任、また、スクールソーシャルワーカーなども含め対応される旨、御答弁いただいたところであります。  新型コロナウイルスの影響などもあり、子供たちを取り巻く生活環境も大きく変化していることから、児童・生徒と接する機会の多い学校現場においても、その実態を正しく把握することが支援対策の入り口になることも踏まえ、関係機関とも連携しながら、実態把握と支援を積極的に進めていく必要があります。  そこで、ヤングケアラーの実態に関して、学校ではその後、どのようにその把握が進んでいるのかお伺いするとともに、関係機関等との連携も含め、自分ではこの問題を解決しづらい子供たちに対して、今後どのように対応していかれるお考えか、教育長にお伺いいたします。  質問の第二点目は、市町との連携による災害対応力の強化についてであります。  今年度も残すところあと半月程度となりました。振り返ってみますと、新型コロナウイルス感染症の影響で、防災訓練や避難所対策など、対応の難しさが指摘される環境が続く中で、集中豪雨や台風による大きな水害、また、大規模地震による地震災害などについては、県内では大きな被害はなく、その点については安堵しているところであります。  いつ襲ってくるか分からない災害に対して備えることが防災の基本であることを踏まえ、私としても、これまでほぼ毎議会で、委員会や一般質問の中で質問させていただいており、防災・減災対策については引き続き注視してまいりたいと考えております。  他県に比べて自然災害が少ないとされる本県においては、県や防災関係機関の災害対応の経験も少ないことや、地域住民自体も大規模な災害を経験していない方が多いことから、いざというときに迅速で的確な災害対応を行うための実践力という点では、まだまだ課題が多いのではないかと考え、県民の防災意識の向上などを訴えてまいりました。  県では、南海トラフ地震に備えた業務継続計画を策定し、毎年度見直しを行うとともに、災害対策本部運営訓練など各種訓練を行っているほか、東日本大震災の発災日に合わせて、毎年三月十一日に、南海トラフ地震に備えるための職員研修を実施しており、先週実施された研修においては、危機管理課以外の職員が防災対策本部の要員として災害対応業務を経験するという実務的な研修を行ったと伺っているところであります。  一方、県内市町においても、業務継続計画については、県が作成を支援し、県内全ての市町で策定されましたが、策定して終わりではなく、その計画が災害発生時に効果的なものとなるよう、適切に見直していく必要があります。特に、南海トラフ地震が発生した場合には、行政自体も被災し、人、物、情報、ライフラインなどに大きな制限が生じることが想定されますが、市町においては、職員の災害対応への理解を深め、実践力をつけるための研修や訓練を行う機会も少ないとも伺っていることから、その災害対応力の強化に向けて、県としても積極的な支援が必要ではないかと考えているところであります。  そこで、災害時における業務継続計画の見直しや、実務的な職員研修、県全体の災害対応力の強化に向けて、今後、市町との連携強化にどのように取り組んでいくのか、知事にお伺いをいたします。  また、市町との連携強化という点においては、昨年六月の定例会において質問させていただきました災害時における死者・行方不明者の氏名公表についても大変重要になってきます。  知事は、昨年十一月定例会において、基本的に御家族の同意を得て安否不明者の氏名公表をすることとする一方、緊急を要すると判断した場合は同意がなくても公表を行う旨、その方針を示されており、県では昨年末に、発災後おおむね四十八時間以内を目標に氏名公表することを盛り込んだ基準を策定しております。  この県が策定した災害発生時における安否不明者の氏名等公表基準においては、市町の役割として、被災した家屋・住民の特定、安否不明者の名簿の作成、家族等に対する公表等に係る意向確認、住民基本台帳上の閲覧制限の有無の確認などを市町の役割としていることから、この氏名公表についても四十八時間以内の氏名公表につなげていくためには、市町との連携を強化し、その実践的なシミュレーション等を、今後、進めていく必要があるのではないでしょうか。備えあれば憂いなし。  そこで、県が今年度発表した災害発生時における安否不明者の氏名等公表基準を実行していくために、市町との連携をどのように進めていくおつもりか、併せて知事にお伺いいたします。  質問の第三点目は、地方移住に対するニーズの変化と対応についてであります。  新型コロナウイルス感染症が国内で確認され、県内でも拡大し始めてから、約二年がたちました。これまでの二年間で、人口の多い首都圏を中心に緊急事態宣言が繰り返されるとともに、全国的にまん延防止等重点措置が適用され、社会全体が新型コロナウイルス感染症による新しい生活様式にどう対応していかなければならないのか、議論されているところであります。  いわゆる三密行動を避けるために、働く環境の場面では、リモートで開催する会議や出勤抑制に伴い、テレワークによる在宅勤務が進められてきたほか、生活環境においては、外食の場面や、趣味や娯楽などの過ごし方、また、子育ての環境も大きく変わってきました。  新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、これらの新しい生活様式が当然のようになる一方で、その影響で、首都圏に集中していた人口が近郊地域や地方に流出しているとの報道を目にする機会が増えてきております。  直近の報道によりますと、テレワーク環境の浸透などで、三十歳代から四十歳代の子育て世代について東京都で転出超過となる一方、東京都近郊などでは転入超過となり、郊外や地方への移住が進んでいるとされているほか、共働きや育児、介護などの事情により転勤しづらい世帯や、故郷や地方を仕事場にしたい社員が増加していることを背景に、テレワークなどを活用し、社員が地方で居住することや地方に移住することを支援する大手企業が出てきています。  県が昨年六月に公表した移住者に関するデータによりますと、令和二年度の香川県への移住者数は前年度より七百五十一名増加し、二千七百二十一名となり増加傾向が続いているほか、移住世帯数についても前年度より四百三十八世帯増加し、千八百四十八世帯となり、移住者数同様に増加しているところであります。主な移住前の住所地は、関東、近畿、中四国で全体の約八二%を占めるとともに、主な年齢構成としては三十歳代以下の比較的若い世代で全体の約七割を占めており、若者・子育て世代が多い傾向にあるとされ、先ほど申し上げたような最近の報道からも、そのニーズは継続しています。  県においても、移住ポータルサイトの開設・運営や、首都圏でのPR等により移住を促進するなど、本県の魅力をアピールし、希望者に対して本県への移住を支援していると伺っておりますが、そのニーズや価値観は世代や世相によって変化するものであり、新型コロナウイルス感染症の拡大以降は、利便性重視から安心して生活できる環境であったり、場所を選ばない働き方や副業との両立などの視点も出てきているのではないかと考えております。  人口減少の傾向が続く中、本県を魅力的に感じていただき移住者が増加することは喜ばしいことであると思っており、来年度は瀬戸内国際芸術祭が開催されることから、本県の魅力についての発信に積極的に取り組んでいただきたいと思う一方、移住先の候補は全国にあるわけであり、その変化するニーズに対して戦略的に取り組まなければ、本県が移住先として選択される機会が少なくなるのではないでしょうか。  そこで、本県における移住・定住施策について、一昨年からの新型コロナウイルス感染症の影響による人々の地方移住に関するニーズの変化にどのような傾向があると捉えられているのか知事の御所見をお伺いするとともに、来年度、移住・定住の促進に向けてどのように取り組んでいくおつもりか、併せて知事にお伺いいたします。  質問の第四点目は、高齢者施設等における新型コロナウイルス感染症の影響についてであります。  新型コロナウイルス感染症については、昨年末から、変異株とされるオミクロン株の世界的な拡大により、国内での感染者数もこれまでになく爆発的に増加し、先月初めには全国での新規感染者数が一日で十万人を超えたほか、感染力の強さや感染後の症状など、これまでの変異株とは異なった特徴が確認されているところであります。  本県においても、全国の感染者数の増加傾向と同様に、一月初旬から感染者数が増加し始め、一月二十一日からは、まん延防止等重点措置が県内でも適用されたほか、一日の感染者数がこれまでの最大となるなど、経験をしたことのない感染状況となっており、保健所などにおける業務の逼迫など、その対応に追われる状況となっております。  そのような感染第六波の状況の中で、他県では高齢者施設等の介護を必要とする現場で、新型コロナウイルスに感染した職員のうち無症状で基礎疾患のない職員が、やむを得ず感染した入居者を介護せざるを得ない状況となる、いわゆる陽陽介護の状況が発生した事例があったと報道されております。  いわゆるエッセンシャルワーカーと呼ばれる日々の生活を維持していくために必要な職種は多くありますが、その中でも、公的機関だけではなく多くの民間事業者などが参入して、その体制が成り立っている分野の一つが高齢者施設や障害者施設等の分野です。  本県においても、新型コロナウイルス感染症の拡大以降、高齢者施設等において入居者や職員の感染が確認されているほか、クラスターの発生も確認されております。施設によっては、その運営母体の規模から、ほかの施設からの応援体制を構築し、事前に、業務を継続するための計画を策定して、感染防止対策と併せて職員の出勤体制を見直すなどの対応を取っているところもあると伺っておりますが、オミクロン株の影響による感染者の拡大が一月中旬から拡大していることもあり、その対応や体制整備ができていない中で、何とか運営を継続している施設もあるのではないかと大変危惧しております。  高齢者施設等については、人材の不足が新型コロナウイルス感染症拡大前から問題視されており、介護などに従事する人材が一人でも感染することで、業務の継続が困難な状況になる施設も多いと伺っております。本県においても昨今の感染状況を踏まえると、市町とも連携しながら、運営継続が困難になる状況となった高齢者施設等に対する支援協力体制の構築など、その機能を維持するための支援が必要になるのではないかと考えております。  そこで、感染第六波において、高齢者施設や障害者施設等における職員などの新型コロナウイルスへの感染者発生に際し、業務の継続が困難になるような状況がどの程度あったのか、その実態をお伺いするとともに、これまでの感染状況も踏まえ、高齢者施設等での新型コロナウイルス感染拡大防止に県としてどのような支援をされているのか、併せて知事にお伺いいたします。  質問の第五点目は、学校教育や家庭教育における非認知スキルの向上についてであります。  私はこれまで、将来を担う子供たちの優しく・たくましく生きる力、自制心や、やり抜く力といった、いわゆる非認知スキルを伸ばしていくことが重要であり、これまでにも就学前教育や家庭教育における非認知スキルの向上について、定例会の場でも訴えさせていただきました。また、このことに関して、昨年六月の定例会では、昨年十月に策定された香川県教育基本計画の中で、非認知スキルの向上をどのように盛り込もうとしているのかについても質問させていただいたところであります。  第四期となる香川県教育基本計画においては、初めて重点項目である「心の育成」の取組施策として、「自己肯定感・自己有用感の育成」が盛り込まれており、子供たちの自己肯定感などの非認知スキルは周囲の人との関わりによって育まれることから、家庭、学校、地域が連携して伸ばしていく必要があるとされております。このことは、これまで申し上げてきた学校教育などや家庭教育を通じた非認知スキルの向上に向けて計画を盛り込まれるようになったものと理解しており、その点については、教育長をはじめ関係者の皆様に感謝申し上げますとともに、今後ともしっかり取り組んでいただきたいと思っております。  この非認知スキルについては、さきにも申し上げましたとおり、優しく・たくましく生きる力、自制心や、やり抜く力といった数値化しにくいものがありますが、グローバル化する社会や多様化する価値観等の中において、子供たちの心を育みながら人生を豊かなものにするためには、これからの教育における重要なポイントであります。  また、地方自治体では、家庭での教育を支援するために家庭教育の支援に特化した条例を制定する自治体もあることから、本県もその導入を前向きに検討していただき、施策の推進につなげていただきたいところであります。  一方、児童・生徒を取り巻く環境は、非常に厳しいものとなっております。先月、文部科学省は、問題行動・不登校調査の結果を公表しました。その中では、不登校となった児童・生徒の増加傾向が継続されており、全国では十九万六千百二十七人が不登校となっているところであります。  生活環境の変化により、生活リズムが乱れやすい状況や、学校生活において様々な制限がある中で、交友関係を築くことや、いじめ問題など、登校する意欲が湧きにくい状況にあったこと等も背景にあるとして、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、学校や家庭における生活や環境が大きく変化したことが子供たちの行動に影響しているところであります。  本県においては、不登校となった児童・生徒については、千人当たりの不登校児童・生徒数については全国を下回っているものの、前年より増加している状況であり、目に見えない閉塞感や孤立感といった因子が子供たちを取り巻いているのではないかと感じております。  このような状況であることから、子供たちがアイデンティティーを形成する重要な時期における非認知スキルの向上については、その時代に生じる価値観なども考慮しながら、家庭とも連携し、進めていく必要があると考えております。  そこで、新たな教育基本計画にも盛り込まれた非認知スキルの向上について、新型コロナウイルス感染症の影響による環境の変化が子供たちに及ばす影響も踏まえながら、来年度以降、どのような具体的取組をされるお考えなのか、教育長の御所見をお伺いいたしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。(拍手、降壇) ◯議長(十河 直君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)松本議員の御質問にお答えいたします。
     まず、ヤングケアラーの実態と支援対策についてであります。  議員御指摘のとおり、ヤングケアラーの概念についての認識が進みつつある中、児童相談所などにおいて必要な支援を行うよう努めているところでありますが、子供本人や家族、周囲の大人がヤングケアラーと認識していないことなどから、まだ支援につながっていない子供をより早期に発見し、早期に対応するためには、本県における実態を把握する必要があり、来年度、新たに、相談支援機関等を通じた調査を実施したいと考えております。  具体的には、各市町要保護児童対策地域協議会、地域包括支援センター、スクールソーシャルワーカーなど、子供や保護者の相談・支援に携わる機関及びケアの必要な家族がいる家庭の支援に携わる機関等を対象に、ヤングケアラーの状況や支援機関による支援の状況を調査し、県教育委員会が実施する学校における調査と連携してその結果を分析し、今後の支援の検討につなげてまいります。  また、県では、昨年度からヤングケアラーに接する機会のある支援機関の職員等を対象に、ヤングケアラーの概念や、ヤングケアラーを発見するための視点、支援の具体的な方策について研修等を通じて理解を促進し、それぞれの機関において、支援につなげるよう働きかけております。  このような中、ヤングケアラーへの支援につきましては、児童福祉、障害者福祉、高齢者福祉、地域福祉、教育など、各分野の支援機関の連携が重要であると考え、実態調査の実施に当たっては、これらの関係者による検討会を設け、調査項目や結果などについて御意見を伺いながら、必要な施策等や支援体制の在り方を検討してまいりたいと考えております。  私といたしましては、各市町、学校等関係機関とより一層連携し、ヤングケアラーの学びや健やかな成長を促すよう、積極的に取り組んでまいります。  次に、市町との連携による災害対応力の強化についてであります。  大規模災害発生時における避難情報の発令や避難所の開設・運営など、市町の果たす役割は極めて大きく、市町と連携した防災対策の推進はもとより、市町の災害対応能力の向上に向けた支援は県としても重要な役割であると認識しております。  このため、御指摘の業務継続計画につきましては、毎年、県の計画の見直しを行い、各市町と共有するとともに、市町の業務継続計画についても、香川大学と連携して、その策定・運用を支援しており、今年度は東かがわ市をモデル市町として、昨今の大規模災害を踏まえた非常時優先業務別のタイムラインの作成など、計画の見直しを行っているところであり、今後、これらの成果を他の市町の計画見直しにも生かしてまいりたいと考えております。  さらに、市町職員の災害対応力の向上に向けて、県では、これまで、市町の幹部職員が被災自治体の具体事例を学ぶ研修や、担当職員が災害時の情報処理などの実務を学ぶ研修などを行うとともに、昨年七月に実施した災害対策本部運営訓練においては、新たに県職員のリエゾンを各市町に派遣するなど、市町との連携強化を図っております。  また、昨年十二月に策定した災害時の安否不明者の氏名公表基準につきましては、その実効性を高めることが重要であることから、一月十九日に実施いたしました災害対策本部運営訓練において、氏名公表に向けた手順などの確認を市町や県警察と行うとともに、今月三日に開催した市町防災・減災対策連絡協議会において、その訓練の検証等も踏まえ、報告様式などの運用面での協議を行ったところであり、引き続き各市町とともに、効果的な運用に努めてまいります。  私といたしましては、県と各市町が一体となり、県を挙げて南海トラフ地震などの大規模災害に備えていく決意であり、今後とも市町の災害対応力の強化を全力で支援するとともに、より一層の連携強化を図り、災害に強い香川づくりを推進してまいります。  次に、地方移住に対するニーズの変化と対策についてであります。  地方移住に当たり、本県を移住希望先として選んでいただくためには、移住希望者のニーズを的確に捉え、効果的に施策を実施していくことが重要であると考えております。  内閣府が公表した、新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査によりますと、昨年九月から十月の時点で「地方移住への関心がある」と回答した東京圏在住の二十歳代の割合は四四・九%と、令和元年十二月時点と比べ一二・八ポイント増加しており、地方回帰の志向が高まっていることがうかがえます。  また、同調査では、東京圏在住で地方移住に関心がある人が、その理由として「テレワークによって地方でも同様に働けると感じた」ことや、「人口密度が低く自然豊かな環境に魅力を感じた」ことを挙げる割合が増加傾向にあることから、快適で暮らしやすいと言われる本県の魅力は、若者や子育て世代等のニーズに合致するのではないかと考えております。  県では、これまで、移住希望者の関心度に応じて総合的に施策を展開してきたところですが、議員御指摘のとおり、地方移住に対するニーズの変化を踏まえた戦略的な取組がより一層必要であることから、来年度、主に若者に関心の高いテレワークを本県で体験していただくため、お試しテレワークに対する助成を行い、本県への移住のきっかけにしていただきたいと考えております。  また、移住支援金制度において、来年度から、子育て世帯へ加算するよう制度を拡充するほか、移住者が安心して暮らし続けてもらえるよう、SNS上で相談等に応じるオンラインコミュニティを開設するなど、支援体制の充実を図ってまいります。  私といたしましては、各市町や関係機関と連携しながら、移住希望者の傾向を捉えた新たな施策にも取り組むことにより、積極的に移住・定住の促進を図りたいと考えております。  次は、高齢者施設等における新型コロナウイルス感染症の影響についてであります。  高齢者施設等におけるサービスの提供は、利用者やその御家族の生活を維持する上で欠かせないものであることから、感染者が発生した場合には、まずは当該施設等において、勤務体制の見直しや、同一法人内の他の施設からの応援などにより、サービス提供の継続を図っており、なお職員が不足する場合につきましては、県において登録された施設や事業所間で職員の相互応援派遣を行う体制を構築しております。  今回の感染拡大においては、本年一月から先月末までに、県内の施設等で三十三件のクラスターが確認されておりますが、発生した施設において人員体制を整えることで業務が継続されており、一部サービスの休止や職員への負担増はありましたものの、これまでのところ、業務継続が著しく困難となった事例の報告はありません。  県におきましても、施設内で陽性者が判明した場合には、感染対策における高度な専門知識を持つ感染管理認定看護師を派遣し、感染拡大防止の指導を行うほか、いわゆるN95マスクやガウンを配布するなど、感染を早期に収束させるための支援を行っております。  こうした支援に加え、今回新たに、県において抗原検査キットを確保し、職員等が感染した施設に速やかに配布し、検査をしていただくこととしており、感染者を早期発見し、迅速に対応することで施設におけるクラスターの発生防止を図りたいと考えております。  また、これまでの感染状況を踏まえ、各施設等に対し、利用者の体調管理や、マスクの着用や手洗いの励行、発熱時には出勤しないことなどを改めて徹底するよう、チェックリストや啓発を促すチラシを配布いたしたところでございます。  私といたしましては、高齢者や障害者をはじめ、その生活を支える皆様が安心して暮らせるよう、引き続き事業者や各市町、関係機関等と連携し、高齢者施設等における感染拡大防止対策に全力で取り組んでまいります。(降壇) ◯議長(十河 直君)工代教育長。    (教育長工代祐司君登壇) ◯教育長(工代祐司君)松本議員の御質問にお答えいたします。  まず、ヤングケアラーの実態と支援対策についてであります。  ヤングケアラーについては、近時、顕在化してきた課題であるため、まずは教職員がその認識を持つことが重要と考え、県教育委員会では、教職員対象の研修会等の機会を捉えて周知・啓発を行ってまいりました。その結果、教職員のヤングケアラーに対する認識は、以前よりも高まってきたと考えております。  実態把握につきましては、小・中学校においては、昨年十一月に実施した県学習状況調査の質問紙調査において、「家で世話をしている家族がいて勉強や遊びに時間がとれないなど困っていることがありますか」という質問を初めて行った結果、小学校五年生の一〇・一%、中学校二年生の五・七%が、「よくある」または「ある」と回答しました。  こうした結果を踏まえ、他の学年も含めた気になる児童・生徒に対し、学級担任やスクールカウンセラー等によるヒアリングを行い、実態についてより深く把握してまいりたいと考えております。  高校においては、来年度一学期中に、全ての生徒を対象とした調査を実施することとしております。  今後の対応につきましては、困っている児童・生徒を孤立させないことが重要と考えており、教職員間で児童・生徒の実態についての情報を共有し、それを踏まえた指導に努めるとともに、個々の実態には幅があると思われることから、必要に応じて福祉機関との連携を図ってまいりたいと考えております。  県教育委員会といたしましては、知事部局や関係機関と連携し、学校における調査で把握した情報などを共有するとともに、ヤングケアラーの支援についても検討してまいりたいと考えております。  次に、学校教育や家庭教育における非認知スキルの向上についてであります。  非認知スキルとは、自尊心や自制心、やり抜く力といった数値で測ることのできない自己実現の原動力となる能力であり、子供たちがよりよく生きるために必要不可欠な能力であると考えております。  今年度策定した第四期香川県教育基本計画では、重点項目の「心の育成」の取組として、「自己肯定感・自己有用感の育成」を掲げ、体験活動の充実やボランティア活動の推進を図ることとしており、非認知スキルの向上につながるものと考えております。  長引くコロナ禍で、学校行事や交流・体験活動が延期、縮小となる中、今年度の全国学力・学習状況調査の質問紙調査では、「難しいことでも、失敗を恐れないで挑戦している」と回答した児童・生徒の割合が、全国と同様、本県でも大幅に減少しており、コロナ禍の中で、日々の生活における非認知スキルを重視した取組がより一層重要となってきております。  このため、学校教育においては、感染症対策を行った上で、子供たちが学級や学年の枠を超えて自発的・自治的な活動を行う心の交流事業を来年度も実施し、自分たちで決め、やり遂げる体験を通して充実感や達成感を高めてまいります。  また、教員の非認知スキルに対する理解を深めるため、昨年取りまとめた実践事例集「非認知スキル向上プログラム」を、来年度から全ての新規採用職員に配付し、その実践に向けた研修を実施したいと考えております。  家庭教育においては、来年度、広く保護者の皆様にお読みいただいている子育て通信を引き続き配付するとともに、生活リズムでパワーUP事業を新たに中学校一校を加えたモデル校四校で実施し、児童・生徒が自主的に家庭での生活習慣の改善に向けた取組を行うことを支援してまいります。  県教育委員会といたしましては、今後とも、学校や家庭と連携しながら、子供の成長を支える基盤である非認知スキルの向上に一層取り組んでまいります。(降壇) ◯議長(十河 直君)一般質問を続行いたします。  松原哲也君。    (松原哲也君登壇、拍手) ◯松原哲也君 先般、浜田恵造知事におかれましては、今期限りでの勇退を表明されました。  思えば、私自身、県議として歩みを始めさせていただいたのが平成二十二年十月でありますので、知事とは二か月後のスタートにはなりますが、ほぼ同時期、同期間、県政に携わらせていただきました。その知事が、今期九月四日で退かれるということで、私自身、大変感慨深いものがあります。  御承知のとおり、私の座右の銘は一日一生であります。その言葉を常に自分に言い聞かせながら、毎日毎日を人生一生のように研さんに努めてまいりました。  知事もまた、この十二年間、県民の幸せ、そして豊かな生活をつくるために日々精進してこられたと思います。残りの任期、半年ほど残っておりますけれども、最後の最後まで精力的に御活躍されますことを御祈念申し上げますとともに、知事の信念であります「前進また前進」は、不肖私が受け継がせていただきますことをお誓い申し上げまして、私の一般質問をさせていただきます。  まず初めに、乳児用液体ミルクの備蓄等についてお伺いします。  乳児用ミルクといえば、これまで粉ミルクが主流であり、液体ミルクと比較して低価格な点と、長期間の保存が可能なメリットがある反面、湯で溶かす必要があるなどの手間がかかるという面倒な部分があります。一方、液体ミルクは、そのまま乳児に与えられるため、授乳までの手間が大幅に省けるメリットがあります。  しかしながら、乳児用液体ミルクに関しては、国内での厚生労働省所管の食品衛生法の法令において成分規格等が設定されておらず、消費者庁所管の表示許可基準も設定されていなかったため、国内で母乳代替品としての製造・販売ができない状態が続いておりました。  そこで、平成二十八年五月に、野田聖子衆議院議員ほか自民党国会議員を中心に、乳児用液体ミルクの普及を考える会が立ち上げられ、国内での製造・販売に向けて活動を続けてきたところ、平成三十年八月に法令改正が実現し、翌年三月には国内での発売が解禁され、日本初の乳児用液体ミルクの販売が開始されることになりました。  さきに述べましたとおり、液体ミルクは乳児がそのまま飲めるため、災害発生時においても、溶融するための水や消毒などの衛生管理の必要がないため、授乳の負担が減り、避難する際にも安心して行動することができます。  しかし、阪神・淡路大震災や東日本大震災等、過去の災害発生時では、国内では粉ミルクしか成分規格等の基準が設定されていなかったため、液体ミルクが使用できなかったという経緯があります。その後、平成二十八年四月の熊本地震発生時には、緊急的にフィンランド製液体ミルク約五千パックが保育施設で配られたと聞いております。  現在、県では、大規模災害発生時に備えるため、避難所等への支援物資が迅速かつ的確に行われるよう供給体制の強化に努めているところであります。  平成三十一年二月定例会において、高木県議からの液体ミルクの備蓄に関する質問に対し、知事からは、液体ミルクは国産品の販売が開始されたところで、災害時の利便性が考えられる一方で、粉ミルクより価格が割高で賞味期限が短いことなど検討すべき課題もあることから、まず情報収集を行い、各市町とともに研究していくという答弁がなされたところでありますが、まず、市町も含めた現在の液体ミルクの備蓄状況についてお伺いします。  また、日本栄養士会が東日本大震災をきっかけに設立した日本栄養士会災害支援チームでは、災害時の乳幼児の栄養確保と保護を目的に、赤ちゃん防災プロジェクトを発足し、母乳代替品として粉ミルクと液体ミルク及び使い捨て哺乳瓶や乳首等の備蓄推進を行っていると伺っております。これらの備蓄も大変重要ではあるのですが、感染症予防の観点からも、まずは母乳代替品ではなく母乳が勧められているところです。  災害時には、避難所等での慣れない生活環境により、心身の健康に影響が生ずることが想定されます。特に、妊産婦及び乳児については、心身の負担が大きくなることと併せて、断水や停電等により、授乳に当たっての清潔な環境等が確保できない可能性も考えられることからも、授乳に当たっての環境の整備を進めておく必要があると考えます。  そこで、避難所等でのこれら関係機関並びに各市町との授乳環境整備のための連携等の取組状況について、併せてお伺いします。  次に、玉藻地区におけるクルーズ客船受入れ機能の強化についてお伺いします。  現在、香川県内には六十七の港湾があり、このうち高松港及び坂出港は、港湾法上の重要港湾に指定されているほか、外国と貿易ができる開港、感染症等の広がりを防ぐための検疫などの機能を有する港湾となっております。県内の港湾別の取扱量においても、高松港はフェリー貨物と内貿貨物で、坂出港は外貿貨物と内貿貨物で高いシェアを占めており、県民の生活や産業にとって大きな役割を果たしているところであります。  その高松港及び坂出港の港湾計画は、平成九年度に改定してから二十二年が経過していることなどから、県と坂出市は、高松港・坂出港長期構想検討委員会を設置し、二十年から三十年先を見据えた高松港・坂出港長期構想案を取りまとめ、一月から二月にかけてパブリックコメントを実施されていたところであります。  その高松港及び坂出港長期構想案の中で、玉藻地区の客船専用岸壁では五万トン級までのクルーズ客船を受け入れており、街から近く、景観がすばらしいと好評を得ている一方で、朝日地区のコンテナ岸壁では十一万トン級までのクルーズ客船の受入れが可能であるものの、街から遠い貨物船岸壁での受入れとなり、よい評価が得られていないことから、より多くのクルーズ客船に選ばれる港を目指して、玉藻地区におけるクルーズ客船受入れ機能の強化を図るとされております。  具体的には、十一万トン級のクルーズ客船受入れに向けて、既存岸壁の延伸及びしゅんせつに取り組むとともに、クルーズ乗船客が利用する観光バスの待機空間を確保するため、既存空間の活用に向けた調整に取り組むことが盛り込まれております。  コロナ禍以前のクルーズ客船寄港数は増加傾向にあり、特に外国船籍による利用者及び隻数が急増していたことからも、まだまだ先が見えない状況ではありますが、新型コロナウイルスにより落ち込んだ観光需要や関連産業に経済効果を波及させるためにも、コロナ収束後にはクルーズ客船の受入れ誘致にも積極的に取り組んでいく必要があると考えます。  そのような中、玉藻地区は、小豆島、直島などの離島と結ぶフェリー、旅客船等の発着が集中する高松港のまさに中心地区であります。また、JR高松駅や、ことでん高松築港駅、高速バスターミナルなど、全て徒歩圏内にあるため、クルーズ客船の寄港後、乗船客にとって利便性が高く、主要観光地への移動も促しやすいと思います。  過去にはダイヤモンド・プリンセスを朝日地区で受け入れたことがありますが、玉藻地区で受け入れることができるのであれば、経済波及効果は朝日地区よりも大きくなるものと考えます。さらに、今後は新県立体育館の建設や、JR高松駅の新駅ビルが建設される予定であり、玉藻地区周辺にさらなるにぎわいが期待できるものと考えており、玉藻地区で大型クルーズ船の受入れができるよう、今後取り組んでいくことは有意義であり、早期に実現することを大いに期待しております。  そこで、年度内に取りまとめを行う予定となっている高松港・坂出港長期構想案について、パブリックコメントを踏まえた現在の状況をお伺いするとともに、長期構想案を踏まえ、今後、高松港港湾計画、坂出港港湾計画が策定されるものと認識しておりますが、玉藻地区におけるクルーズ客船受入れ機能の強化に向けて今後どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。  次に、新規就農者の確保についてお伺いします。  農業従事者の高齢化や減少により、農業の労働力不足が進む中、本県農業を持続的に発展させるためには、農業をもうかる産業へ成長させ、農業を担う新規就農者を将来にわたり確保する必要があります。  本県の新規就農者は、平成二十八年度から令和二年度までの平均で約百四十三人となっており、十年前となる平成二十二年度と比較すると約一・五倍となっておりますが、基幹的農業従事者数は、平成二十二年からの十年間で七千四百六十人減少、率にすると二九%減少しており、平均年齢は七十一・三歳となっており、全国平均の六十七・八歳を上回っております。  そのような中、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、テレワークなど場所を問わない働き方が進展するとともに、地方への田園回帰志向や農業・食への関心が高まっている背景があることから、現状は、県外者をターゲットに新規就農者を確保する好機とも言える状況と考えています。  本県は、年間を通じて晴れの日が多く、平野部も多いことから農業に適した環境であり、年中いろいろな作物が栽培できることから、他県と比較しても本県の魅力は劣っておらず、コロナ禍ではありますが、この機を逃さず、積極的に本県農業の魅力をPRしていくべきではないでしょうか。  直近の取組といたしまして、県では、一月八日から十日の間、移住希望者らを対象にした就農ツアーを初めて開催したと伺っております。当該ツアーは、県までの交通費の助成があったことも関係していたとは思いますが、定員十人を上回る十四人が参加し、オンラインでも二人が参加して、先輩移住者との情報交換や農作業の体験等を行ったと伺っております。  また、新型コロナウイルス感染症の影響で延期となりましたが、一月三十日に開催を予定していた水稲の基本技術を学ぶ農業入門セミナーも、参加希望者が多かったため、当初の予定を変更して、午前、午後の二部制で実施することになったと伺っております。  イベントが盛況ということですので、今後も引き続きこのようなイベントを入り口といたしまして、意欲がある就農希望者をどんどん就農に結びつけていくとともに、農業の活性化につなげていただければと思います。  一方で、令和元年に総務省が取りまとめた「農業労働力の確保に関する行政評価・監視」によれば、農業法人での雇用就農者の離農率が三五・四%となっており、離農の理由としては、「農業の理想と現実のギャップ」が最も多く、三一・五%でした。このことは、農業に対して現実的かつ具体的なイメージができないまま就農していることから生じていると考えられ、相談から就農するまでの支援がいかに重要であるかを示していると考えます。  また、新規就農者は、全般的に、技術面が未熟であったり、良好な農地の貸借がなかなか難しいなど、様々な課題を抱えているという声も耳にします。地域で孤立しないようにサポートするなど、就農までに技術面だけに限ることなく、様々な観点で、継続的かつ重点的な支援を行うことが重要と考えます。  そこで、新規就農者の確保に向けて、就農希望者を幅広く呼び込み、就農へ確実に結びつけるため、どのように取り組んでいくのか、お伺いします。  次に、運動部活動の地域移行についてお伺いします。  近年、部活動に関する環境は、社会情勢の変化を踏まえて、大きく変わろうとしています。  少子化により学校の生徒数が減少し、特にチームスポーツでは、学校単位での練習や大会の参加自体が難しくなっております。また、学校の働き方改革の進展に伴い、教員が土日も含めて部活動の指導を行うことが見直されてきており、中学生になったら自分が好きな部活動を自由に選べて、顧問である教員の指導の下で土日も含め活動するという、一昔前までは当たり前だったことが見直されてきております。  平成三十年に国が策定した運動部活動の在り方に関する総合的なガイドラインを踏まえ、本県においても検討委員会を設け、スポーツ庁や文化庁から出された国のガイドライン等を参考に検討を進め、香川県部活動ガイドラインを策定しており、その中で、中学校では週当たり二日以上の休養日を設け、高等学校では週当たり一日以上の休養日を設定することとしていると伺っております。  また、国においては、子供たちのスポーツ環境をより充実させるとともに、持続可能なものにしていくため、まずは休日の部活動を学校単位から地域単位の取組にしていくことを含めた運動部活動改革に取り組んでおり、今年度から地域運動部活動推進事業を新設しております。これは、令和五年度以降の休日の部活動の段階的な地域移行に向けて、地域人材の確保や費用負担の在り方、運営団体の確保などの課題に総合的に取り組むため、全国各地において実践研究を実施し、研究成果を普及することで、休日の地域部活動を全国展開につなげようとするものでありますが、本県からは、東かがわ市と三豊市が実践研究に取り組んでいるとのことであります。  内容といたしましては、東かがわ市では、市内三つの中学校の生徒による合同部活動として、サッカーと剣道の二種目に教員OBらの指導の下取り組んでおり、三豊市では、休日の外部指導者参画の取組として、地域人材を活用し、五名の外部指導者による専門的な指導を行っているとのことです。  東かがわ市の例のように、市内に複数ある中学校で合同部活動を実施できるケースもあろうかとは思いますが、県内には、町内に一つしか中学校がないため、合同部活動を実施しようにも、それすらも困難であるといった声も耳にします。そのような生徒は、自身が本当は取り組みたい種目があるものの、やむなく別の種目を選んでいるのが実情です。  こういった生徒を減らすためにも運動部の地域移行を進めていく意味があるとは考えますが、地域や学校によって大きく状況が異なる中、運動部の地域移行には様々な課題があると思います。先ほど述べたような町内に一つしか中学校がないケースは、地域の受皿自体も不足することが予想され、市町単位ではなく、さらに広域で検討することも必要になってくると思います。また、地域移行の受皿としては、今後、総合型地域スポーツクラブや民間のクラブチームにも協力を求めていくことも必要ではないかと考えています。  そこで、今年度、モデル事業として実施した東かがわ市と三豊市の成果を踏まえ、運動部活動を円滑に地域移行させていくため、今後、県ではどのように取り組んでいく予定なのか、教育長にお伺いします。  最後に、サイバー犯罪に対する取組についてお伺いします。  デジタル化の進展等に伴い、サイバー空間の公共空間化がさらに加速しております。今やサイバー空間は社会経済活動の場として、例えば、実空間における学校や公園や図書館といった広く県民に開かれ、利活用される公共施設に勝るとも劣らない機能と役割を担っております。  サイバー空間には、子供から高齢者まで幅広い世代が参画するようになっている一方で、新しいサービスや技術を悪用した犯罪が次々と発生し、その手口は悪質・巧妙化の一途をたどっております。国内においても、キャッシュレス決済の普及等を背景として、令和三年のサイバー犯罪の検挙件数が過去最多を記録しているほか、身代金の要求を目的とした悪意のあるプログラム、いわゆるランサムウエアによる被害が拡大するとともに、不正アクセスによる情報流出や、サイバー攻撃集団によるサイバー攻撃が明らかになるなど、サイバー空間をめぐる脅威は極めて深刻な情勢が続いております。  今月初めにも、トヨタ自動車が主要取引先へのサイバー攻撃で、国内全十四工場の稼働を一時停止するという事態が生じたところであります。深刻化するサイバー攻撃に対応するため、警察庁は、サイバー警察局とサイバー特別捜査隊の四月発足を目指しているとのことです。  サイバー犯罪の特徴の一つとも言えますが、インターネットは国境を越えて情報を伝達することができ、距離や時間の制約を受けることが少なく、インターネットが利用可能であれば、犯行の場所を選ばずにいつでも行うことができるため、地方に住んでいても、いつ、いかなる形で犯罪を受けるか分かりません。これまであまりインターネットを活用していなかった年配の方も含め、県民一人一人の情報セキュリティーに対する意識を高く持つ必要があり、県民に対する周知・啓発活動等も重要と考えます。  本県におきましても、令和三年上半期に県警が受けた相談件数は、前年同期比八十二件増の七百八十一件となっており、過去五年の上半期で最多だった令和元年の七百十四件を約七十件上回っております。  相談内容を見ると、最多はフィッシングメールや架空請求などの迷惑メールで、全体の四割以上を占めております。新型コロナウイルス感染症の影響により、インターネットで商品を購入する機会が増え、宅配業者を装った手口が目立っているそうです。それ以外では、現金を振り込んでも商品が送られてこない偽サイトなどの詐欺・悪徳商法や、勝手に物を購入されるなどの不正アクセス、セキュリティーに関する相談のほか、名誉毀損や誹謗中傷などの相談となっております。  県警では、インターネット等の発展に伴い急増しているサイバー犯罪に対応するため、サイバー犯罪対策室を平成二十四年四月に設置して、この種の犯罪の抑止対策や取締り活動に努めているほか、部門横断的に専門的な知識や技能を有するサイバー犯罪指定捜査員等を約三十人指定して配置しており、警察本部や警察署の捜査員に対する解析などの技術指導等に当たっていると伺っております。しかしながら、相談件数が増加しているのみではなく、手口自体も巧妙化が日々進んでいる状況であり、来年度、新規事業として、サイバー犯罪捜査能力強化事業にも取り組んでいく予定とも伺っております。  そこで、サイバー犯罪について、本県の状況、これまでの対策についてお伺いするとともに、県民に対する周知・啓発も含めて、さらなる対策強化にどのように取り組んでいくのか、警察本部長にお伺いしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。(拍手、降壇)
    ◯議長(十河 直君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)松原議員から、御質問に先立ち過分なお言葉をいただき恐縮しておりますが、任期いっぱい諸課題に全力で取り組んでまいる所存でございますので、引き続きよろしくお願いを申し上げまして、御質問にお答えしたいと存じます。  まず、乳児用液体ミルクの備蓄等についてであります。  災害時に乳幼児や妊産婦が安心して避難するためには、避難所において適切な対応を行うことができるよう、平時から各市町と連携して、乳幼児や妊産婦に必要な物資の備蓄や環境の整備に努めておくことが重要と考えております。  このため、現在、県におきましては、各市町とともに、乳幼児に必要な育児用ミルクをはじめ、おかゆ、哺乳瓶、おむつのほか、避難所におけるプライバシーを確保するためのパーティションを備蓄しております。  お尋ねの乳児用液体ミルクにつきましては、粉ミルクより価格が割高である反面、災害時に水なしで授乳でき、最近では、粉ミルクと同等の賞味期限を有する商品も販売されていることや、国からのプッシュ型支援の品目にも位置づけられたことなどを踏まえ、県内においては、県と市町分と合わせ、現在約千四百本の液体ミルクを保管しております。  また、避難所における授乳環境の整備につきましては、平成二十六年三月に作成した避難所管理運営指針の中で、授乳室の設置も含め、女性や乳幼児等の安全・安心の確保に配慮するよう定めており、各市町においては、授乳スペース等を確保するパーティションを用いた避難所運営訓練等の取組も行われております。  さらに、災害時に妊産婦等のニーズに適切に対応するには、日頃から地域の防災活動への女性の参画が重要であることから、昨年十月には、女性団体と連携して女性防災リーダー育成研修を実施したほか、今月三日に開催した市町防災・減災対策連絡協議会においても、改めて女性の視点を踏まえた防災対策の推進を各市町に強く働きかけたところであります。  私といたしましては、今後より一層、各市町や関係機関と緊密に連携を図り、災害時に妊産婦や乳幼児などの命や生活を守るための対策を進め、災害に強い香川づくりを推進してまいります。  次に、高松港玉藻地区におけるクルーズ客船受入れ機能の強化についてであります。  高松港・坂出港長期構想につきましては、昨年十二月に第三回検討委員会を開催し、長期構想案を取りまとめ、本年一月二十五日から先月二十四日までパブリックコメントを実施したところであり、今後は、いただいた御意見を踏まえ、今月末に長期構想を策定する予定としております。  一方、大型クルーズ客船の受入れにつきましては、長期構想検討委員会において、クルーズ客船の船舶代理店や旅行代理店等を対象にアンケートを実施しており、坂出港に比べ高松港を優位とする意見や、高松港については朝日地区より玉藻地区のほうが市街地に近く、二次交通へのアクセスも優れているといった評価をいただいたことも踏まえ、議員御指摘のように、長期構想では玉藻地区においてクルーズ客船受入れ機能を強化することとしているところであります。  そのため、県では、コロナ収束後の観光需要を取り込む環境を整備するため、玉藻地区の大型クルーズ客船の係留施設を早期に港湾計画に位置づけたいと考えており、計画変更に必要な係留施設や大型クルーズ客船の航行安全対策の検討に係る予算案を今定例会に御提案しているところであります。  私といたしましては、高松港玉藻地区において、大型クルーズ客船の受入れが可能となる施設整備を着実に進め、今後、高松港が多くのクルーズ客船の寄港地として選ばれ、多くの観光客を呼び込み、地域経済の活性化に資する港となるよう努めてまいります。  次は、新規就農者の確保についてであります。  農業者の高齢化や減少が進行し、新規就農者の確保が急務となる中、若者から定年退職者まで幅広い世代にわたって多様な人材を積極的に呼び込むとともに、それぞれが自分に合った農業スタイルを選択し、希望を持って就農できるよう支援していくことが重要と考えております。  このため、県では昨年、新規就農相談センターのホームページを刷新し、オンラインでの就農相談等、就農希望者への情報発信や呼び込みを強化したほか、本年一月には新たに、移住就農ツアーを開催し、本県での暮らしや農業の魅力を実感していただくとともに、農業を実体験できるお試し就農の活用も促し、本県での就農をより具体的にイメージできるよう工夫を図っております。  また、農家等で働きながら栽培技術や農業経営の研修を受ける本県独自の里親制度につきましては、昨年六月から登録制を設け、自分の希望に合った品目や地域、経営方針等により研修先を選べる環境を整えたほか、就農を始める際に参考となる農業経営のモデル指標についても、半農半Xなども含め充実させることにより、就農希望者が就農前に目指すべき姿を明確にできることで、確実な就農につなげたいと考えております。  さらに、来年度は、就農に向けて働きながら学べるよう、農業大学校において土日や夜間に開講する就農基礎講座を充実させるほか、就農に当たって課題となる初期投資や農地取得について、農業機械等の導入支援の拡充や農地の受け手助成の対象拡大を図るとともに、農業改良普及センターを中心に、県農地機構等と連携して、就農希望者のニーズに応じたサポート体制を強化することで、円滑な経営開始を支援してまいりたいと考えております。  私といたしましては、幅広い人材を呼び込むとともに、就農までのきめ細かな支援に取り組むことにより、新規就農者の確保を図り、本県農業の持続的発展につなげてまいります。(降壇) ◯議長(十河 直君)工代教育長。    (教育長工代祐司君登壇) ◯教育長(工代祐司君)松原議員の運動部活動の地域移行についての御質問にお答えいたします。  国においては、令和五年度以降、段階的に休日の部活動を地域に移行する方向性を示しており、これは、子供たちにとって望ましい持続可能なスポーツ環境の構築とともに、教職員の働き方改革を目指そうとするものでもあります。  県教育委員会では、国の地域運動部活動推進事業の委託を受け、今年度、東かがわ市と三豊市で実践研究を行ってまいりました。東かがわ市では、大川中学校、白鳥中学校、引田中学校の三つの中学校が合同で部活動を行い、三豊市では、豊中中学校で、地域の人材を活用し、外部指導者による専門的な指導の実践を行ったところです。  今回の実践研究では、子供たちからは、「専門的な指導を受けることができ、充実した活動になった」、学校からは、「指導が苦手な教員の精神的な負担の軽減や、全体的な勤務時間の減少につながった」という声が寄せられております。一方、運営主体や指導者の確保とその財源確保の方法や、各種競技大会の参加資格の見直しの必要性等の諸課題が、改めて明確になりました。  来年度は、東かがわ市、三豊市に加え、高松市においても、部活動の地域移行に向けた実践研究を実施するとともに、地域部活動の運営主体として期待されている総合型地域スポーツクラブスポーツ少年団、民間のスポーツクラブ等とも情報交換の場を設けたいと考えています。  県教育委員会といたしましては、部活動の地域移行については、解決すべき課題も多いことから、こうした各市での実践研究の取組等を推進するとともに、全国の先進的な事例の調査研究も行いながら検討を進めてまいりたいと考えております。(降壇) ◯議長(十河 直君)今井警察本部長。    (警察本部長今井宗雄君登壇) ◯警察本部長(今井宗雄君)松原議員のサイバー犯罪に対する取組についての御質問にお答えいたします。  本県における昨年のサイバー犯罪をめぐる情勢につきましては、検挙件数が過去最多の百四十五件を記録し、特に、新型コロナウイルス感染症対策に関連した持続化給付金詐欺をはじめとするインターネットを利用した詐欺事件の検挙が増加しております。また、昨年のサイバー犯罪相談も、過去最多であった一昨年に次ぐ千四百四十一件を受理するなど、県民の皆様の不安は高まっており、サイバー空間における被害の未然防止や拡大防止を図ることが喫緊の課題であります。  こうした中、県警察では、これまで先進県への派遣等による捜査員の育成など対処態勢の強化を図りながら、悪質・巧妙化するサイバー犯罪の取締りを推進するとともに、出前型防犯教室であるサイバーセキュリティカレッジの開催等を通じて、情報セキュリティーの啓発に取り組んでまいりました。  しかしながら、議員御指摘のとおり、近年、悪質なマルウェアによる国内企業を狙ったサイバー攻撃が相次いで発生し、県内においてもランサムウェア被害が確認されるなど、これまで以上に高度なサイバー事案への対処能力が求められております。  県警察といたしましては、引き続きサイバー人材の確保に取り組むとともに、新規事業のサイバー犯罪捜査能力強化事業として、より実践的な民間研修の受講を通じて、事案対処の中核となる専門捜査員を育成し、警察庁や全国警察との連携強化を図りながら、取締りを推進してまいりたいと考えております。  さらに、サイバー防犯ボランティア活動において、香川大学生等と連携したサイバーパトロールによるフィッシングサイト対策や、産学官が保有する情報や知見を活用した県内企業・団体等に対する被害防止対策を推進し、社会全体におけるセキュリティー意識の向上を図り、県民の皆様が安全で安心して利用できるサイバー空間の実現を目指してまいります。(降壇) ◯議長(十河 直君)理事者の答弁は終わりました。  暫時休憩いたします。                            午後零時零分休憩                            午後一時七分開議     ─────────────────────────────   出  席  議  員    高  城  宗  幸 君    鏡  原  慎一郎  君    松  岡  里  佳 君    白  川  和  幸 君    岡  野  朱里子  君    秋  山  時  貞 君    斉  藤  勝  範 君    松  本  公  継 君    森     裕  行 君    米  田  晴  彦 君    木  村  篤  史 君    山  本  悟  史 君    谷  久  浩  一 君    氏  家  孝  志 君    高  木  英  一 君    樫     昭  二 君    山  田  正  芳 君    香  川  芳  文 君    高  田  良  徳 君    竹  本  敏  信 君    三  野  康  祐 君    新  田  耕  造 君    松  原  哲  也 君    広  瀬  良  隆 君    辻  村     修 君    石  川     豊 君    尾  崎  道  広 君    宮  本  欣  貞 君    山  本  直  樹 君    黒  島     啓 君    五所野尾  恭  一 君    花  崎  光  弘 君    大  山  一  郎 君    都  築  信  行 君    鎌  田  守  恭 君    平  木     享 君   欠  席  議  員    十  河     直 君    西  川  昭  吾 君    綾  田  福  雄 君    ─────────────────────────────         地方自治法第百二十一条第一項による出席者           知     事      浜  田  恵  造 君           副  知  事      西  原  義  一 君           病院事業管理者      太  田  吉  夫 君           審  議  監      大  山     智 君           政 策 部 長      淀  谷  圭三郎  君           総 務 部 長      椋  田  那津希  君           危機管理総局長      寺  嶋  賢  治 君           環境森林部長       木  村  士  郎 君           健康福祉部長       土  岐  敦  史 君           商工労働部長       近  藤  清  志 君           交流推進部長       佐  藤  今日子  君           農政水産部長       新  池  伸  司 君           土 木 部 長      西  川  英  吉 君           文化芸術局長       小  川     剛 君           子ども政策推進局長    吉  田  典  子 君           会計管理者        田  中  一  裕 君           病 院 局 長      岡  田  総  一 君           デジタル戦略総室長    井手下   慶  博 君           知事公室長        尾  崎  英  司 君           教  育  長      工  代  祐  司 君           公安委員会委員      岡     みゆき  君           警察本部長        今  井  宗  雄 君           代表監査委員       木  下  典  幸 君           監査委員事務局長     田  井  慎  二 君           人事委員会委員      平  尾  敏  彦 君           人事委員会事務局長    森  岡  英  司 君           労働委員会事務局長    河  内  一  裕 君           選挙管理委員会委員長代理 松  田  清  宏 君    ───────────────────────────── ◯副議長(高城宗幸君)再開いたします。  一般質問を続行いたします。  松岡里佳さん。    (松岡里佳君登壇、拍手)
    ◯松岡里佳君 議長のお許しをいただきましたので、質問をさせていただきます。  質問の第一点は、地域農業を支える担い手の確保についてであります。  農林水産省は、我が国の食料自給率の向上のためには優良農地の確保と担い手への農地の集積・集約化が必要であるとし、荒廃農地の発生防止、解消に向けた対策を進める上で現状把握が必要不可欠であることから、毎年、荒廃農地の発生・解消状況に関する調査の結果を取りまとめて公表しています。  昨年十一月に農林水産省が公表した調査結果に基づく本県の荒廃農地面積は七千四百八十八ヘクタールとなっており、十年前の平成二十二年度実績値から約三七%増加しています。  農地・農村は、農業に従事する方々の生活を支え、また、我が国の食料の安定供給を支えているのは当然のことですが、国土保全や水源涵養、景観形成など様々な機能を有しており、その利益を広く国民全体が享受しています。  近年、農村地域の高齢化や人口減少などが言われておりますが、本県もその例外ではありません。五年に一度調査が実施される農林業センサスのデータによりますと、本県の基幹的農業従事者は、令和二年二月一日現在で、その数は一万八千百九十人、平均年齢は七十一・三歳となっており、十年前の平成二十二年と比べ人数は約二九%減少し、平均年齢は一・九歳上昇しているという状況です。  農地を適切に維持管理し、荒廃農地の発生を抑制していくためには、これまでと同じやり方や従来の担い手の力に頼るだけでは限界があります。それらの作業には多くの人手が必要となるわけですが、農家の高齢化や後継者の問題等による労働力不足により、作業への負担が年々大きくなっているのが実情であると思いますので、例えば、定年で帰農する方なども含めて維持管理に取り組んでいくことが重要であると考えます。  中山間地域の傾斜地では、水田に付随する畦畔やのり面が高く、面積も広いため、草刈り作業には多大な労力が必要であり、農地を集積する担い手の経営を圧迫するとともに、管理が不十分となれば鳥獣被害も大きくなります。  国の統計によりますと、私の地元綾川町は、圃場整備が一定進んでいるものの、水田の耕地面積に占める畦畔面積の割合が、島嶼部を除き、県内で最も高く、水田の約一割が畦畔となっております。草刈り作業一つを取っても、農地の維持管理には課題や苦労が多いようです。  担い手不足の課題は即座に解決できるものではなく、息の長い取組が求められると思いますので、そうした現状においては、農業者の減少や高齢化に直面するそれぞれの地域で幅広い人材を掘り起こし、地域農業を支える担い手として確保を図っていく必要があるのではないでしょうか。  そこで、県ではこれまでも、本県農業の持続的発展に向けて、多様な担い手の確保・育成の支援に取り組んでいるところではありますが、農業者の減少や高齢化が著しい地域農業を支える担い手の確保について、今後どのように取り組んでいこうと考えているのか、知事にお伺いをいたします。  質問の第二点は、環境に優しい農業の推進についてであります。  政府は、環境に配慮した農林水産業の推進を目指し、先月二十二日に、みどりの食料システム法案を閣議決定し、国会に提出しました。  その前段として、農林水産省は、農業者の減少・高齢化や地域コミュニティーの衰退による生産基盤の脆弱化の問題解決、また、世界的にSDGsや環境への対応が重視されるようになったことを踏まえ、持続可能な食料システムの構築に向け、中長期的な観点から、調達、生産、加工、流通、消費の各段階の取組と、カーボンニュートラル等の環境負荷軽減のイノベーションを推進する目的で、昨年五月に、みどりの食料システム戦略を策定しています。  そして、同戦略には、「目指す姿と取組方向」として、二〇五〇年までに、農林水産業のCO2ゼロ・エミッション化の実現や、化石燃料を使用しない園芸施設への完全移行、農山漁村における再生可能エネルギーの導入、化学農薬使用量(リスク換算)の五〇%低減、輸入原料や化石燃料を原料とした化学肥料の使用量の三〇%低減、耕地面積に占める有機農業の取組面積の割合を二五%に拡大することなどを目指すことなどが書き込まれています。  私は、アメリカを中心に広がりを見せるオーガニック市場の動向を鑑みても、農産物の輸入の推進に当たっては、近い将来、こうした流れを踏襲することが必要条件となってくるのではないかと感じており、また、これからの我が国の農業は、一つ前の質問でも触れました担い手の課題に真正面から向き合いつつ、その一方で、全世界的な潮流であるSDGsや脱炭素・地球温暖化対策の推進を念頭に置き、環境保全型農業の推進という新たなテーマに果敢に挑戦していくことが求められているものと考えております。  こちらも綾川町の事例になりますが、綾川町では、資源の有効活用と、焼却しないことによる二酸化炭素の排出抑制を目的に、昨年度から、町道の整備のために刈り取った雑草を堆肥化し、町民に無償提供するという取組が実施されております。今年度は二月十四日からの配付開始、各自スコップや袋を準備して所定の場所に取りに行き持ち帰り、なくなり次第終了として募集を開始したところ、配付開始後、早々に配付終了となったようで、住民の関心の高さが感じられる、循環型、環境保全型の好事例だと思った次第です。  一般的には、環境保全型と聞くと、どうしても労力やコストがかかるのではないかと連想しがちだと思います。恐らくそうした側面があることも否定はできないのだろうと思う反面、私は、そうした課題を一つ一つ解決していくことこそが、まさに推進上の鍵となるのではないかと思っております。  本県の実情に即した、導入しやすく取り組みやすい施策をいかにデザインできるか、あるいはパッケージ化できるかが重要なポイントになってくると考えますので、県にはぜひ、そうしたところで主導的役割を果たしていただけるよう期待をしております。  昨年十二月に、知事を本部長とする庁内組織である香川県脱炭素・地球温暖化対策本部が設置され、来年度は、関係団体や市町等で構成する協議会を新たに設置し、本県における温暖化対策の中長期的な工程表の作成など、地球温暖化対策に本格的に取り組んでいくものと認識しております。  そして、農業分野についても、今月には、かがわの「環境にやさしい農業」推進計画が策定されるとお聞きしており、令和四年度当初予算案には、新規事業として、環境保全型グリーン農業実証定着事業など、関連予算が計上されているところです。  そこで、環境に優しい農業の推進について、県は来年度、具体的にどのように取り組んでいこうと考えているのか、知事にお伺いをします。  質問の第三点は、全国高等学校総合体育大会の開催準備状況についてであります。  北京二〇二二冬季パラリンピックが先日十三日に閉会しました。先月四日の冬季オリンピック開会式から約一か月半、テレビ画面や新聞紙面を通じ、世界各国と日本代表のトップアスリートが繰り広げる数々の熱戦と、選手たちが見せる晴れやかな笑顔や悔し涙、また、選手同士の国籍を超えた絆の深さなどに触れ、心を打たれた方も多かったのではないでしょうか。  また、今回のオリンピック・パラリンピックは、非常に特別な意味を持つ大会でもありました。  一つは、私たちが約二年もの間闘い続けている感染症流行の中での開催であったということです。様々な声が上がる中で、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックは一年延期となり、その結果、夏季五輪、冬季五輪が一年の間に開催されるという、近年では非常にまれなケースとなりました。  そしてもう一つ、どのような状況であっても目標に向かい、ひたむきに努力する選手たちの姿があった一方で、チャンネルを変えれば、ロシアによるウクライナ侵略という大変悲しい映像が流れてきました。  私は、これまでに自分が深く関わってきた芸術文化をテーマに、その大切さを伝えてまいりましたが、その全ての根幹は平和への祈りと願いであります。スポーツも同じく、特にオリンピックの精神は、人間育成と世界平和を究極の目的とし、また、パラリンピックにおいては、多様性を認め合い、社会の中にあるバリアを減らし、それぞれの持つ能力を発揮できる社会を目指している中で、平和をじゅうりんする行為には大変憤りを感じるところであります。  いずれにしましても、今回の五輪は私たちに多くの学びを与え、また、これからの世界の在り方を問われた大会になったように私自身は感じております。  さて、スポーツの意義を改めて考えさせられた中、本県を見てみますと、今年度は、全国高校総体、いわゆるインターハイが二十四年ぶりに四国四県で開催される予定となっており、本県におきましては、高松市、丸亀市、坂出市、善通寺市、三豊市、綾川町、まんのう町において、七月から八月にかけ、新体操、バスケットボール、男子バレーボール、登山、自転車、フェンシング、アーチェリー、なぎなた、カヌーの計九つの競技が行われる計画となっております。  昨年十二月にスポーツ庁が公表しました令和三年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果によりますと、本県の中学校女子は全国第十四位と、調査開始以降最高順位であったものの、総じては二十位台後半から三十位台の成績となっているところでありますが、全国高校総体の盛り上がりは、広く県民のスポーツに対する関心を高め、競技力の向上や児童・生徒の体力向上にもつながるものと考えますので、県においては、開催市町をはじめ関係機関との十分な連携の下、大会の成功に向けてしっかりと取り組んでいただきたいと思います。  開催に当たっては、日本全国から選手、関係者を多数お迎えすることとなります一方、新型コロナウイルス感染症の先々の見通しは依然不透明であることや、種目ごとに会場が点在し、広い範囲で大会が実施されること、また、真夏時の開催となるため、熱中症対策など、安全・安心な大会運営のためには、事前に検討しておくべき点も数多くあるものと考えます。  そこで、開催まで五か月を切りましたが、全国高校総体の準備がどのように進んでいるのか、具体的な課題とそれに対する対応状況について、教育長にお伺いをいたします。  質問の第四点は、児童・生徒の交通安全教育についてであります。  県警察の取りまとめによりますと、本県の昨年の交通事故死者数は三十七人であり、一昨年より二十二人減少し、七十二年ぶりに三十人台となり、昭和二十三年の統計開始以降で二番目に少ない値となっておりますものの、人口十万人当たりの死者数は三・八九人で、全国ワースト三位であり、依然として厳しい状況にあると認識しております。  交通事故の減少のためには、県民一人一人の交通ルールの遵守と、他の道路利用者に対する思いやりを持った交通マナーの実践が肝腎です。また、一人一人が自ら責任を持ち、それらを遵守・実践する社会としていくためには、私は交通安全教育が何よりも大切であると考えており、自動車を運転する当事者である免許取得者への免許取得時や、教育の機会の少ない高齢者に対する教育はもちろんのことでありますが、加えて、子供の頃から段階に応じ、適切に交通ルールや交通マナーについて学ぶ機会を確保していくことが非常に重要であると考えています。  東京都内で、公園内に道路とともに信号機や横断歩道、道路標識などを設け、交通環境を再現した交通公園をよく目にしました。昭和三十年代以降の自動車交通の急成長に伴う交通事故の急増を背景に、全国各地の自治体で数多く設置されたようで、その効果については定かではありませんが、親子で楽しく交通知識や交通ルールについて考える何らかの機会はやはり必要であると思います。  子供の交通事故防止を目的に、県では交通安全教育ビデオの貸出しや、県教育委員会では、市町の教育委員会や県警察など他の関係機関等と連携し、子供の発育段階に応じ、交通安全教育車を学校に派遣して実施する参加体験型の交通安全教室や、自転車の安全運転教育などに取り組んでいると伺っております。そして、それらの安全教室などの内容は、いかにして子供たちを事故の危険から守るかということに力点が置かれているものと思います。交通弱者である子供たちへの講習でありますので、とにかくまず身につけるべきこととして当然の内容であると思います。  しかしながら、それと同時に、子供たち自身も事故の加害者の家族となってしまう可能性があることや、数年後には自動車免許を取得する将来のドライバーでもあるということも忘れてはいけません。交通事故の危険からいかに自分の身を守るかが、子供たちにとって最も重要であることは間違いないわけですが、併せて自分の家族や将来の自分が加害者とならぬように心がけていく意味では、車のスピードの出し過ぎや脇見運転がいかに危険な行為であるか、黄色信号での停止や夕暮れどきのライトの早期点灯がいかに大切であるかなど、運転者の側に立った交通ルールや運転マナーについても早い段階から触れておくことが望ましいものと考えます。  県が作成している小学生用防災教育副読本「地震がやってくる前に」は、写真やイラスト、振り仮名をふんだんに用い、分かりやすいよう工夫がなされていると感じますが、中身自体は大人にとってもためになる具体的な内容となっており、プレート、シェイクアウト、自主防災組織など、小学生にとってはやや難しいと思われるような用語も用いた上で、丁寧な解説が添えられています。中でも、私が特に引かれますのは、家族で防災計画を立てよう、家族で防災会議を開こうと呼びかけ、子供たち自身が防災活動に主体的に関わるように促している点でありますが、こうした点は、同じ危険回避のための教育という面において、より身近な交通安全教育にも通じるところがあるのではないかという印象を受けております。  令和三年度文部科学省交通安全業務計画を見ましても、「生涯にわたる交通安全教育の徹底」として、「学校においては、生涯にわたる交通安全教育の推進を図る観点から、自他の生命尊重の理念の下に、交通社会の一員としての責任を自覚し、交通安全意識と交通マナーの向上に努め、相手の立場を尊重する良き社会人を育成するため、家庭や地域社会との密接な連携を図りながら、幼児児童生徒の心身の発達段階や地域の実情に応じ、交通安全教育を計画的かつ組織的に行うこと。」とあります。  学校における交通安全教育の際に、例えばですが、交通安全会議チェックリストを基にして、家族で交通安全会議を開こう、おうちでお父さん、お母さんの運転をチェックしてみようと呼びかけるなど、学校の交通安全教育の場が、児童・生徒自身が主体的に交通安全対策について考え、また、あなたも交通社会の一員なんだよと意識づけの機会となり、その結果として、生涯にわたって被害者リスクと加害者リスクの両方の面から、子供たちを交通事故から守ることにつながるよう、ぜひ工夫を重ねていってもらいたいと思います。  そこで、学校現場における児童・生徒の交通安全教育にどのように取り組んでいこうと考えているのか、教育長にお伺いをいたします。  最後の質問は、コロナ禍を踏まえた選挙の実施と投票率の向上に向けた取組についてであります。  本県では、昨年四月の丸亀市長・市議会議員選挙を皮切りに、坂出市、観音寺市、土庄町、年が明けて直近では三豊市と、市町における選挙が続いたほか、昨年十月には衆議院議員総選挙が執行されたところです。  投票所などでは感染対策の徹底がなされる中、昨年行われた選挙、特に衆議院議員総選挙については、結果的に新型コロナウイルス感染症の状況が落ち着いているタイミングに行われましたが、直近の三豊市での選挙においては、ちょうど感染者が増加傾向にあったため、実際、私自身も、「濃厚接触者は投票所に行ってはいけないのか」、「感染していたらどうやって投票に行ったらいいのか」などの問合せを受けました。  総務省のホームページには、特例郵便等投票の制度についての記載があります。自身が感染し、宿泊療養や自宅療養の状態にある方の場合は、特定患者等に該当し、その場合は特例郵便等投票が可能である、また、濃厚接触者が投票のために外出することは不要不急の外出に当たらないため、感染症対策等を取った上で投票所において投票を行って差し支えないとされておりますが、特例郵便等投票の制度がどの程度世間に知れ渡っているのか、少々疑問に感じております。  特例郵便等投票は、選挙期日(投票日当日)四日前までに、選挙人名簿登録地の市町の選挙管理委員会に投票用紙を請求する必要がありますので、町長・町議選のように投票できる期間が五日間しかない場合、例えば、投票日三日前に発症し、外出自粛要請を受け、投票日までその期間が続くような場合には、この制度を活用することもできず、投票したいのにできないという問題点があります。大切な一票を、少しでも多くの方に責任を持って投じていただくことができるよう、当該制度の事前周知も含めた環境づくりは大切だと考えます。  本県では、来年度に大型選挙が控えておりますが、コロナ禍の今後の見通しが立ちづらい現状を踏まえますと、やはり用意周到な準備が必要であると思います。県選挙管理委員会においては、実際に投開票の事務を行う各市町選挙管理委員会の声も拾い上げつつ、次の選挙への準備や各市町に対する支援につなげていただきたいと思います。また、ガイドラインの整備をはじめ様々なノウハウや知見の蓄積など、コロナという危機を体験している私たちだからこそ後世に残すことができる、また、残しておくべき事柄も多くあるのではないかと感じておりますので、そうした点にも県選挙管理委員会が主体となって取り組んでいただきたいと考えます。  そこで、今後の選挙の実施について、コロナ禍を踏まえ、県民が安心して投票ができる環境づくりにどのように取り組んでいかれるのか、選挙管理委員会委員長にお伺いをいたします。  また、来年度に執行が予定されている参議院議員通常選挙と知事選挙ですが、それぞれ前回の投票状況を見てみると、令和元年七月に執行された参議院議員通常選挙における本県の投票率は四五・三一%、平成三十年八月に執行された知事選挙の投票率は二九・三四%となっており、いずれも過去最低の投票率を記録しています。  投票率の向上に向けた取組は、選挙時だけでなく、常日頃の継続した取組も重要であると考えますが、来年度には大型選挙も控える中、投票率の向上に向けてはどのように取り組んでいかれるのか、併せて選挙管理委員会委員長にお伺いをし、私の質問を終わります。(拍手、降壇) ◯副議長(高城宗幸君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)松岡議員の御質問にお答えいたします。  まず、地域農業を支える担い手の確保についてであります。  農業者の減少や高齢化が進む中、地域の農業生産や農地を維持し、持続可能なものとしていくためには、議員御指摘のとおり、それぞれの地域の実情に応じた形で、地域農業を支える多様な人材を幅広く確保することが重要と考えております。  このため、県では、地域における農業を支援する新たな取組として、認定農業者などの核となる担い手に加え、兼業農家や定年帰農者、半農半Xなど多様な形で農業に関わる人材等が構成員となり、地域の農業生産活動や農地の維持管理作業等を共同で受託する農業支援グループの組織化を昨年八月から開始し、今月末までに五つのグループが設立される見込みとなっております。  こうした農業支援グループの組織化や育成をより一層促進するため、来年度は、今年度実施した機械導入支援に加え、新たにグループが行う農作業の作業受託面積の拡大に応じた支援も行い、地域のニーズに合わせたグループ活動の活性化を図ってまいります。  また、小規模農家や家族経営等、地域農業を下支えする多様な担い手の役割に鑑み、これまで認定農業者を対象としていた農地の受け手に対する支援を兼業農家や定年帰農者等にも拡大することにより、小規模農家の営農継続や農地の維持管理を促進してまいりたいと考えております。  さらに、地域農業を担う幅広い人材の掘り起こしに向け、これまで農業に携わっていない兼業農家の子弟や、定年帰農者などを対象に水稲栽培の基本的な知識・技能を身につけるセミナーを新たに開催し、地域農業の後継者としての意識醸成にも努めてまいります。  私といたしましては、こうした様々な取組を通じ、本県農業の持続的な発展に向け、地域農業を支える多様な担い手の確保・育成に積極的に取り組んでまいります。  次は、環境に優しい農業の推進についてであります。  脱炭素に向け、あらゆる分野での取組が求められる中、温室効果ガスの削減に加え、化学肥料・農薬の使用低減や有機農業など、環境に優しい農業を積極的に推進していく必要がありますが、議員御指摘のとおり、通常の農業生産に比べ、収量の減少や労力、コストの増加等により、生産性が低下することが課題となっております。  こうした課題を解決するため、県では、来年度、新たに環境保全型グリーン農業実証定着事業を創設し、環境に優しい栽培技術にスマート農業など省力化に資する先端技術を組み合わせることにより、環境負荷の低減と生産性の向上を両立させる栽培技術の実証に取り組んでまいりたいと考えております。  具体的には、水稲栽培において、水位センサーを活用した水管理を行い、水田から発生するメタンの排出を削減する技術や、ドローンを活用し、生育不良箇所にピンポイントで施肥を行うことで化学肥料の使用を低減する技術などのほか、農薬の使用低減や有機農業の拡大に向けた技術について、県内の産地において様々な実証を行い、その結果を踏まえて、本県農業の実態に応じた栽培マニュアルの作成や、産地への普及に向けたロードマップの策定を行いたいと考えております。  また、産地ごとの実証の取組を相互に共有しながら、生産者はもとより、消費者も含め、県全体で環境に優しい農業への理解を促進し、取組を拡大していくため、今月末には、農業者やJA、大学に加え、実需者や消費者などの関係者が一体となった香川県グリーン農業コンソーシアムを設立し、推進体制を整備することで、普及に向けて広く展開を図ってまいります。  私といたしましては、これら各種施策の取組を通じて、環境に優しい農業を積極的に推進し、本県農業の持続的発展につなげてまいります。(降壇) ◯副議長(高城宗幸君)工代教育長。    (教育長工代祐司君登壇) ◯教育長(工代祐司君)松岡議員の御質問にお答えいたします。  まず、全国高校総体の開催準備状況についてであります。  「躍動の青い力 四国総体二〇二二」の七月二十六日の本県開催まで、あと百三十三日となりました。議員御指摘のとおり、安全・安心な大会の開催に向け、新型コロナウイルス感染症対策をはじめとする諸課題について、関係機関と連携し、対策を進めているところです。  新型コロナウイルス感染症対策については、現在、全国高等学校体育連盟が示す新型コロナウイルス感染症拡大防止に関する基本方針を基に、感染状況に応じた四国四県共通の新型コロナウイルス感染者等の対応方針の策定に向け、協議を重ねています。  また、県内開催の九競技の会場は七市町と広範囲にわたりますが、選手がスムーズにそれぞれの会場へ移動できるような宿泊や輸送計画を進めているところです。  各会場での安全対策につきましては、例えば、綾川町で開催される自転車競技のロードレースでは、一般道をコースとして使用することから、道路補修のほか、県警察に事前の安全確認や当日の道路標識の設置を依頼するなど、各競技種目に応じた対策を進めてまいります。  熱中症対策については、実行委員会が熱中症対策を含む危機管理マニュアルを作成するほか、競技関係者や市町職員、競技会場のスタッフなどが熱中症対策の講習会を受講することで、熱中症について理解を深め、大会に備えることとしております。  県教育委員会といたしましては、全国からコロナ禍の中で激戦を勝ち抜いて出場する選手や、大会を支える地元の高校生にとって、心に残る大会となるよう、開催市町や関係機関・団体と緊密に連携を図りながら、準備を進めてまいります。  次に、児童・生徒の交通安全教育についてであります。  議員御指摘のとおり、交通事故を減らすためには、交通ルールの遵守と他の道路利用者に対する思いやりを持った交通マナーの実践が何より求められることから、子供の発達段階に応じて、交通ルールや交通マナーを学ぶ機会を確保するとともに、児童・生徒が主体的に交通安全について考える意識を育んでいくことが重要であると考えております。  こうした考えの下、小学生に対しては、入学後速やかに、横断歩道の渡り方や歩道の歩き方など、交通安全の基本を指導しています。  自転車を利用する機会が増える中学生、高校生については、スタントマンによる交通安全教室を実施するなど自転車の安全な乗り方を教えるとともに、高校生には、DVD教材を活用した講習や自転車運転免許の交付などを通じて、事故の加害者にならない意識の醸成にも努めているところです。  あわせて、長期休業明けには、交通安全特別強化週間を設け、交通事故防止に重点的に取り組むとともに、児童・生徒が主体的に実施する交通安全活動や、警察や地域住民と連携した取組も行っております。  また、議員御指摘のとおり、家庭において交通安全や交通マナーについて話し合うことは、児童・生徒が交通社会の一員としての責任を自覚し、主体的に交通安全について考える上で大変有意義であり、保護者の交通安全意識の向上にもつながることから、学校と家庭が連携して交通安全を推進していけるような取組について検討してまいりたいと考えております。  県教育委員会といたしましては、学校とともに、家庭や地域、県警察などの関係機関との連携を密にしながら、交通社会の一員でもある児童・生徒の交通安全教育の充実に一層取り組んでまいります。(降壇) ◯副議長(高城宗幸君)松田選挙管理委員会委員長代理。    (選挙管理委員会委員長代理松田清宏君登壇) ◯選挙管理委員会委員長代理(松田清宏君)松岡議員のコロナ禍を踏まえた選挙の実施と投票率向上に向けた取組についての御質問にお答えいたします。  新型コロナウイルス感染症の影響が懸念される状況の中、昨年執行されました衆議院議員総選挙において、県選挙管理委員会では、選挙人の皆様が安心して投票できるよう、投票等の事務を担う各市町の選挙管理委員会に対して、当該選挙における新型コロナウイルス感染症対策の基本的な方針を通知するなど、助言や情報提供を行ったところであります。  来年度に予定されております参議院議員通常選挙並びに香川県知事選挙及び県議会議員補欠選挙の執行に際しましても、昨年の衆議院議員総選挙で得た経験やノウハウを生かし、各市町の選挙管理委員会と緊密に連携しながら、投票記載台等の配置の工夫など投票所等における対策や、投票日当日に選挙人が投票所に集中することを避けるための期日前投票の積極的な呼びかけ、特例郵便等投票の制度の周知等により、選挙人の投票機会や、投票等における安全・安心の確保に努めてまいりたいと考えております。  また、投票率の向上につきましては、県選挙管理委員会では、日頃の啓発活動において、主権者としての自覚を促し、必要な知識や判断力を養う主権者教育を充実させることが重要であると考え、高校での出前授業や大学生に対する選挙講義を実施しているほか、民間企業の若手社員や市町の若手職員を対象とした選挙啓発リーダー養成研修など、選挙や政治に対する意識の高揚を図る取組を行っているところであります。  さらに、選挙時に実施する臨時啓発において、昨年の衆議院議員総選挙では、若年層や子育て世代に対する啓発に重点を置いて実施したところでありますが、若年層の投票率が低かったことを踏まえ、来年度の参議院議員通常選挙等においても引き続き若年層への啓発に力を入れていくなど、効果的な選挙啓発をより一層積極的に実施し、投票率の向上につなげてまいりたいと考えております。(降壇) ◯副議長(高城宗幸君)一般質問を続行いたします。  広瀬良隆君。    (広瀬良隆君登壇、拍手) ◯広瀬良隆君 世界の平和をリードすべき大国の一つと考えていたロシアの大統領が、事もあろうに隣国ウクライナへの侵略を開始し、無辜の民の殺りくを繰り返しているという信じられないことが現実に起きている今、この暴挙を断固糾弾するとともに、一刻も早くこの侵略行為が中止され、一日でも早くウクライナに平和が取り戻されることを切に切に願って、私の一般質問を始めます。  最初の質問は、PCB廃棄物処理の現状と今後の取組についてであります。  国内最大の食品公害とされるカネミ油症の原因となった強い毒性を持つ液体の化学物質ポリ塩化ビフェニル、通称PCBの廃棄物処理は、長い歴史の中で、その最終段階を迎えています。  PCBは熱で分解されにくく、不燃性、電気絶縁性が高いなど、化学的にも安定的な性質があることから、電気機器の絶縁油、熱交換器の熱媒体、ノンカーボン紙など、様々な用途で利用されました。しかし、その有害性が明らかになってからは、製造、輸入ともに禁止され、PCBを使用した製品は厳正な管理の下に廃棄物として処理されています。
     PCB廃棄物は定められた処分期間までに処分しなければならず、高濃度PCB廃棄物は、期限を過ぎると事実上処分することができなくなります。  PCBは分解されにくいため、残存PCBは海などに拡散され、半永久的に残り続けます。PCBを体内に蓄積した魚介類を食べれば、深刻な健康被害が生じるおそれがあります。そのため、PCBの徹底した掘り起こし調査と廃棄処分が行われてきました。残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約は、二〇二五年までにPCBの使用を廃絶するとしており、締約国百八十一か国の中で日本が同条約を遵守できないという事態は避けなければなりません。PCB廃棄物の処理は待ったなしです。  しかし、環境省によると、期限までに処理できない高濃度PCB廃棄物のうち、安定器及び汚染物等が、西日本だけでもまだ千四百トン以上あると見積もられています。そのため同省は、昨年九月、北海道室蘭市、東京都江東区、愛知県豊田市、大阪市、北九州市に、中間貯蔵・環境安全事業株式会社、通称JESCOによる処理期限を一、二年延長する検討を要請しました。そして、昨年十一月には、PCB廃棄物の処理を加速する対応方針をまとめました。  香川県が公表しているPCB廃棄物の処理状況によれば、令和三年三月三十一日現在で、高松市を除く県内の高濃度PCB廃棄物の保管量は、高圧コンデンサーが七事業場七台、低圧コンデンサーが四事業場七台、安定器が六事業場十九個あり、現在も使用中の高濃度PCB使用製品が、安定器の一事業場三個とされています。このうち、コンデンサー類の処分期間は、香川県が含まれる北九州事業エリアでは平成三十年三月三十一日まで、安定器は令和三年三月三十一日までと、既に処分期間が過ぎています。  低濃度PCB廃棄物の保管量は、柱上変圧器を含む電気機器等が百四十七事業場で八百八十一台、PCBを含む廃油等が十八事業場で約三十トンであり、現在も使われている所有量としては、電気機器等が九十七事業場で三百二十四台となっています。これら低濃度PCB廃棄物の処分期間は令和九年三月三十一日までであり、それまでに適正に処分しなければなりません。  こうした現状から、知事に伺います。  高濃度PCB廃棄物については、処分期間が過ぎているにもかかわらず未処分のものが、さきの量残存していることについて、なぜそのような事態になったのか、その経緯を伺うとともに、これらの残存高濃度PCB廃棄物の今後の扱いはどうなるのか、処分されるまでの安全性をどう担保するのか等々について、知事の御所見を伺います。  また、低濃度PCB廃棄物の処分期間終了まであと五年、確実に期間内に処分を完了させるためにどう取り組まれるのか、併せてお伺いいたします。  次の質問は、改正大気汚染防止法による石綿対策の強化への取組についてであります。  石綿対策を強化する改正大気汚染防止法が令和二年六月に公布され、一部を除き令和三年四月より施行されました。  石綿は髪の毛の約五千分の一という極細の繊維状の鉱物で、耐火、耐熱、防音等の性能に優れ、安価で加工しやすかったことから、多くの建築材料に使用されたものの、吸引することにより肺がんや中皮腫等の健康被害を引き起こすことが明らかになり、我が国においては昭和五十年より段階的に、製造・使用等が禁止されました。  今回の改正の背景には、飛散性が相対的に低いことからこれまで規制対象ではなかった石綿含有建材についても、不適切な除去作業を行えば石綿が飛散する事例があったことや、建築物の事前調査において特定建築材料が見落とされたり、特定粉じん排出作業において特定建築材料が取り残されて、解体等の工事で石綿を飛散させた事例が確認されたことなどがあったためと言われています。  今回の改正の主な点は、規制対象の建材が大幅に拡大されたこと、解体等を行う場合の事前調査の方法が法定化され、調査結果の記録と保存が義務づけられたこと、また、作業基準の遵守義務が下請負人にも拡大されたり、基準を守らなかった場合の罰則強化、都道府県等による立入検査の対象の拡大などがあります。また、さらに本年四月からは、一定規模以上の解体等工事を行う場合に、調査結果の都道府県等への報告が義務づけられること、来年十月からは、建築物に係る事前調査の実施は必要な知識を有する者に限られることなどが発効となります。  規制対象の建材の拡大については、これまでは石綿を表面に吹きつけた壁材や、断熱材として石綿を周囲に貼りつけた配管など、全体の三・五%程度の建材のみが規制対象でした。これを、解体や改修時に飛び散る危険性が比較的低いとされてきた、石綿をセメントやゴムなどで練り固めているスレート波板、石膏ボードなど、全体の九六・五%の建材にまで広げるというものです。つまり、石綿を使った全ての建材が、飛散防止のための何らかの対策が必要とされたのです。  これにより、飛散防止策が必要な解体・改修工事は、今後、現在の約一万六千件の五倍から二十倍に膨れ上がるとされています。石綿を使用した建物の解体・改修工事はまさにこれから増え続け、二〇二八年にピークを迎えると言われています。  罰則強化については、飛散防止のために空間をシートで覆うなど既定の方法で除去しなかった業者には、三か月以下の懲役か三十万円以下の罰金が科せられることになりました。さらに元請業者に加え、下請負人にも作業基準の遵守義務が適用され、作業基準適合命令または作業の一時停止命令に違反した場合には罰則が適用されます。令和五年十月からは、解体工事前に建物を調査する専門的な人材が必要とされるため、その人材育成が三十万人から四十万人必要と言われています。  こうした法改正を受けての課題としては、一つには、事前調査の都道府県等への報告負担が大きくなるため、その軽減のために電子システムが準備されています。このシステムの運用がスムーズに行われるようにしなければなりません。また、規制対象が石綿含有建材全体に広がったことは影響が大きく、例えば、大地震等が発生したときの石綿の飛散状況を把握するために、石綿含有建材の分布状況の一層の把握が必要となります。  また、規制対象建材の拡大や事前調査の厳格化等に伴い、解体等工事に従事する者の作業負担が増大することに対して、発注者側に適正な費用負担がなされることが求められます。  県として法改正による石綿対策の強化に対して、様々な運用を定着させ、かつ法改正の実効性を上げるために、どのように取り組まれるのか、知事の御所見を伺います。  次の質問は、子ども食堂に対する県の認識と対応について伺います。  NPO法人全国こども食堂支援センターむすびえの著した「こども食堂白書」によれば、子ども食堂とは、子供が一人でも安心して来られる無料または低額の食堂であり、子供を真ん中に置いた多世代交流型の地域の居場所であるとしています。その数は、同センター等の調査結果によれば、二〇二一年十二月時点で、全国で約六千か所あるといいます。  箇所数が多い地域は、東京都が七百四十七か所、大阪府が四百七十か所、兵庫県が三百七十三か所、神奈川県が三百七十二か所などと、大都市中心ですが、それでも全都道府県に分布していて、箇所数が少ない県でも二十か所以上はあります。ちなみに、香川県はこの時点で六十か所とされています。  子ども食堂という呼び方は、比較的最近使われ始めた感覚がありますが、子供が集まって一緒に食事を取る場というのは、限りなく昔からどこにでもあったと言えます。それを、最近注目されている活動、ムーブメントとして捉えると、その淵源をたどれば、一九六〇年代からの共同保育運動がそれに当たるのではと、前述のむすびえ理事長の湯浅 誠氏は言います。  共同保育運動は、日本の高度経済成長期に都市化と核家族化が急速に進行する中、働く母親たちが自分たちで子供を見る相互扶助の活動として全国に広がりました。その後、共同保育は、公共サービスとしての保育園の整備を通じて、子育ての社会化を日本社会にもたらしました。それに対し、子ども食堂は公共サービスとしての政策化とは一線を画し、むしろ自発性と多様性を持って運営されていることが子ども食堂の特徴になっています。  子ども食堂の主要な機能の一つは、言うまでもなく、子供の貧困対策です。これは、食に事欠く子供に食事を提供するという側面もありますが、子ども食堂の大半は月に一、二回の開催です。これで子供の食問題が解決できるわけではありません。現金給付もありません。その意味では、子ども食堂は経済的な貧困対策としては無力です。しかし、子ども食堂では、人とのつながりを得ることができます。地域の多様な人たちとのつながりをつくれることが、何よりの貧困対策になるといいます。  子ども食堂は、家庭で不足する生活体験を提供し、信頼できる大人のロールモデルを提供し、そうした人たちからしっかりと時間をかけて関わってもらうなど、いわゆる非認知能力、生きていく上での大切な力を提供してもらえる場となっています。これらは重要な貧困対策と言えます。  子ども食堂は、現場をぱっと一べつしただけでは困っている子が来ているようには見えませんが、だからこそ来られている子供がいるという側面もあります。子ども食堂の運営者には、そうした子を見つけたい、見つけたら自分にできる手助けをしたいという思いがあり、それが子ども食堂に貧困対策としての機能、とりわけ予防的機能を持たせているとも言われています。  子ども食堂が果たしている機能は、貧困対策だけではありません。むしろ、以下のような様々な機能により、子ども食堂は社会の重要なインフラとして根づき始めています。  第一に、地域のにぎわいづくりの場となっていることです。  少子化、高齢化、地域コミュニティーの希薄化、ライフスタイルの多様化、一人暮らしの増加等々は、地域からにぎわいを減らしました。自治会活動は低迷し、商店街はシャッター通りと化し、地域の集いは持ちにくくなりました。  このような社会的背景の中、地域の子供たちからその親たち、そして高齢者までが集える場として子ども食堂は開催されています。これは、かつての子供会を思い出させるもので、そのことが、必ずしも福祉や子供の貧困問題に強い関心を持たない人たちまでをも子ども食堂に引きつける最大の要因となっています。  第二に、子ども食堂には食育や孤食対策の機能があります。子ども食堂でみんなで食べるときは、家では嫌がって食べないものも平気で食べてしまう子が多いといいます。  第三に、親支援、子育て支援、虐待予防の機能があります。  ワンオペ育児と言われるように、現在の子育ては母親一人に強く依存し、産後鬱や虐待など、母子の健康を脅かす事態が生まれています。子ども食堂は、地域の大人が子供を見てくれるという点で、母親にレスパイトを提供する場になっています。母親たちからよく聞かれる言葉は、「ここではいろんな人と知り合える」とか、「子ども食堂で最後まで帰りたがらないのは、実はお母さんたち」といいます。  第四に、高齢者の健康づくりの場としての機能です。  子ども食堂は、地域の高齢者に子供と関わる機会とそこでの役割を提供しています。一人暮らしの高齢者が急増する中、子供と関わって気持ちの張りを持つことが健康づくりにつながります。子ども食堂における調理ボランティアなど、誰かのために頑張ることによる高齢者の健康づくりに子ども食堂は寄与しています。厚生労働省も、六十五歳以上が調理ボランティアを行う子ども食堂の場合には、一般介護予防費用の補助対象になると示しています。  子ども食堂がこのように多様で複合的な機能を持てるのは、子ども食堂が、どなたでもどうぞと多世代交流型で運営されている民間活動だからです。公共サービスは効率性と公平性に縛られざるを得ないゆえに、人を縦と横に割ることで制度として成立しています。それに対し、多世代交流型の子ども食堂は、言わば人を縦にも横にも割らない場所です。年齢や属性、所得等で人を選別せず、誰でも来られるがゆえに、子供と高齢者が一緒に過ごすことの相乗効果が生まれています。  子ども食堂は公の制度ではありませんが、政策としての支援も行われています。内閣府発表の「国及び地方公共団体による「子供の居場所づくり」を支援する施策調べについて」によれば、二〇二一年現在、国のものが八件、地方公共団体のものが四百七十三件あります。  また、日本の子供たちが置かれている状況への社会的関心が高まる中、一般の個人やNPOだけでなく、お寺や保育園、そして企業も、子ども食堂を担うようになってきています。  以上のように、子ども食堂は単なる子供の貧困対策の場ではなく、地域のにぎわいづくり、子育て支援や虐待予防、食育や孤食対策、高齢者の健康づくりなど、様々な機能を持つ社会インフラとして、特に都市部を中心に、この国での存在価値を高めてきているというのが実態と考えますが、県としては、子ども食堂をどのように認識し、その支援にどう取り組むのか、知事の御所見を伺います。  私の一般質問の最後は、歩行者優先の交通社会構築に向けた取組についてであります。  かつて警察庁が、自動車対歩行者の交通死亡事故を分析したところ、その大半が道路横断中に発生しており、信号機のない横断歩道での交通死亡事故では、自動車の横断歩道手前での減速が不十分なものが多発していたといいます。  道路交通法では、歩行者が横断歩道を渡ろうとする際、車の一時停止義務を規定しています。しかし、この基本ルールが守られていないのが現実で、道路での歩行者優先の理念が極めて希薄化していることの表れと言えます。  日本自動車連盟(JAF)は、毎年、全国の信号のない横断歩道で歩行者が渡ろうとしている場面での車の一時停止状況を調査し、結果を公表しています。この一時停止率は二〇一六年、一七年、一八年頃は、全国平均で七、八%という低いものでした。つまり、横断歩道を渡ろうと人が立っても、十台中一台の車も停止しないという状況でした。これが、JAFの調査結果によれば、二〇一九年からうなぎ登りに上昇し始めました。二〇一九年は一七・一%、二〇二〇年は二一・三%、二〇二一年は三〇・六%と、僅か三年程度で四倍近い伸びを示しています。  この急激な変化は何によるものかというと、二〇一八年十月に警察庁が、信号機のない横断歩道における歩行者優先の徹底を図るために全国の警察本部に出した通達が基になっていると言われています。私も二〇一九年九月の定例会で、この通達を受けての県警察本部としての取組について質問させていただきました。  この通達に従って、全国で横断歩道での歩行者優先のための運動が活発に行われ、さきのような調査結果となったものと認識しています。全国で顕著な変化が見られた都道府県としては、例えば山梨県。山梨県は、二〇一八年は横断歩道での一時停止率が五・六%で、全国順位で三十位でした。それが、二〇一九年には二六%の十一位、二〇二〇年には三五・八%の六位、そして二〇二一年には五一・九%で、何と全国三位の一時停止率を出すまでになりました。二〇一八年から二〇二一年までの三年間に、一時停止率で九倍に、全国順位では三十位から三位に躍進したのです。  また、宮城県は、二〇一八年は三・四%で四十位、二〇二〇年には五・七%と低迷し全国最下位という状況でしたが、一年後の二〇二一年には五一・四%まで急上昇し、全国で四位を達成するという快挙を成し遂げました。この宮城県の取組は象徴的で、学ぶべきことが多々あります。  まず、宮城県では毎月十日を、とう(十)とまる(〇)の日だから「とまる日」として県民に意識づけをし、DJポリスも展開して横断歩道で止まることを訴え、県民の関心を高めました。また、仙台市出身のフィギュアスケーター羽生結弦選手をポスターに起用し、「ゆずる思いやり」をキャッチコピーとして県民にアピールしたところ、一年で最下位から四位へと躍進したのです。要は、ちょっとしたことで県民の関心を高める工夫が大事なのではないでしょうか。  この四年間、我が香川県はどうだったかといえば、二〇一八年は六・一%だったものが、二〇一九年九・四%、二〇二〇年一二・一%、二〇二一年二五・二%と一時停止率が飛躍的に向上しました。県警の御尽力に敬意を表するものです。  しかし、残念ながら全国順位で見ると、二〇一八年は二十八位だったものが、二〇一九年は三十五位、二〇二〇年は四十一位、二〇二一年は三十二位と順位は低迷し、四年間で順位を下げているのです。本県の着実な取組以上に、他県の取組が勝っていたということでしょう。  ここはさらなる取組で全国的にも誇れる結果を出したいところです。他県の好事例を参考にしながら、本県でもさらなる運動の推進が期待されます。  そこで、警察本部長に伺います。  まず、全国的に展開されているこの運動により、横断歩道でのドライバーの注意喚起が進んだことで、実際にどの程度、事故率の低減につながっているのか、分析結果があればお示しください。  そして、ドライバーの歩行者優先の意識を高めるための象徴的取組として、この運動は意味あるものと考えますが、本県でのさらなる取組について、お考えをお聞かせください。  また、道路交通法に定められている歩行者優先事項には、例えば、歩行者との側方間隔の保持または徐行だとか、幼児や高齢者、身体障害者の通行の保護や歩道等の例外通行時の注意義務など様々ありますが、まだまだ県民意識に濃淡の隔たりがあり、一層の法令遵守の啓発が必要と考えますが、これにどう取り組まれるのか、お伺いいたします。  以上で私の一般質問を終わります。(拍手、降壇) ◯副議長(高城宗幸君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)広瀬議員の御質問にお答えいたします。  まず、PCB廃棄物処理の現状と今後の取組についてであります。  県では、高濃度PCB廃棄物について、平成二十七年度と令和元年度に、合わせて県内約一万六千六百事業者を対象とした保有状況のアンケート調査を基に、保有実態の把握と早期処分の指導を行い、処分期間内に確認された高濃度PCB廃棄物につきましては、全て適正に処分が行われたことを確認しております。  しかしながら、PCBは様々な用途に利用されていたことや、昭和四十七年に製造が禁止されてから平成十六年に処分が開始されるまでの間に保有者が替わり、現在の保有者が保有の実態を正確に把握していなかったなどの理由により、高濃度PCB廃棄物が処分期間終了後も新たに発見される事案が生じている状況にあります。  新たに発見された高濃度PCB廃棄物につきましては、現状では処分ができないことから、県では、保有者に対し、処分が可能となるまで安全に保管するよう、定期的に保管場所の立入検査を行い、漏えいや紛失の防止について指導を行う一方、国に対しても、早期に処分できるよう具体的な対応策を示すとともに、処分が可能となった場合には、処分費用の軽減措置の対象とするよう要望しているところであります。  また、低濃度PCB廃棄物につきましては、処分期間が令和八年度末までと期間があることや、処分費用が軽減措置の対象となっていないことなどから、処分に対する保有者の意識が高まっていない状況にあるため、県では、電気工事事業者への早期処分の呼びかけや、現地調査等による保有実態の把握を通じ、速やかな処分の指導を行うとともに、国に対しても、処分費用を軽減措置の対象とすることや、これまで以上に積極的な広報・啓発を行うことなどを要望しているところであります。  私といたしましては、PCB廃棄物が適正かつ確実に処分されるよう、引き続きこうした取組を進めてまいります。  次に、改正大気汚染防止法による石綿対策の強化への取組についてであります。  建築物等の解体等工事に伴う石綿の飛散防止を徹底することを目的とした改正大気汚染防止法が昨年四月から順次施行されており、県では、広報誌への掲載や、解体等工事を行う事業者に対する説明会を開催するなど、制度の周知を図っているところであります。  議員御指摘の事前調査結果の都道府県等への報告につきましては、事業者の負担軽減を図るため、来月からの施行に向け、電子報告システムの運用が今月十八日から開始されることとなっており、その活用を促すため、県でも事業者に対し、ユーザーテストへの参加や事前準備を呼びかけてきたところであります。  一方、県といたしましても、規制対象の拡大による報告漏れが生じることがないよう、労働安全衛生法や、いわゆる建設リサイクル法に基づく届出について、関係機関とより一層の情報共有を図りながら、事業者に対する必要な指導を行っているところであります。  なお、石綿を含む全ての建材の分布状況を把握することは困難でありますが、特に危険性の高い吹きつけ石綿については、香川県石綿による健康被害の防止に関する条例により、使用する建築物の所有者に義務づけている届出を活用して、使用状況の把握に努めております。  また、法律では、発注者に対し、事業者の作業基準の遵守を妨げるおそれのある条件を付さないよう配慮することが定められており、県といたしましても、適正な費用負担の下、事業者における石綿の飛散防止対策が徹底されるよう、法律の趣旨の周知に努めているところであります。  私といたしましては、引き続き関係機関とも連携を図りながら、建築物等の解体作業時等の立入検査体制を強化するとともに、様々な機会を捉えて、法律や条例の内容について事業者への周知を図るなど、石綿飛散防止対策の徹底による健康被害の防止に努めてまいります。  なお、そのほかの御質問につきまして、子ども政策推進局長よりお答え申し上げます。(降壇) ◯副議長(高城宗幸君)吉田子ども政策推進局長。    (子ども政策推進局長吉田典子君登壇) ◯子ども政策推進局長(吉田典子君)広瀬議員の子ども食堂に対する県の認識と対応についての御質問にお答えいたします。  子ども食堂は、食事を提供するだけでなく、学びの支援や多世代との交流を行うなど、地域における子供の居場所であるとともに、地域のつながりをつくり、支援を図る場としても重要な役割を担っているものと認識しております。  県では、子ども食堂などの活動を支援するため、県社会福祉協議会にコーディネーターを配置して、令和元年度から、子どもの未来応援ネットワークの構築を図っており、登録している約七十の子ども食堂などと、ボランティア活動や食材提供で応援する約七十の個人や企業等のサポーターを結びつけるマッチングを進めるとともに、支援のノウハウなどを情報交換する交流会や資質向上のための研修会を開催し、活動の充実を図っているところです。  さらに、子ども食堂など支援の場の立ち上げを検討されている方々や現在の運営に課題を感じている方々などに御活用いただくため、立ち上げまでの具体的な手順、安心・安全に運営するためのノウハウなどを掲載したガイドブックや、それぞれの活動内容や場所を周知するためのリーフレットを作成し、各市町など関係機関に配布しているところです。  また、各市町に対しても、子ども食堂への助成などを対象とした国の地域子供の未来応援交付金の活用を促し、地域の実情に応じた子供の居場所づくりへの支援に取り組んでいるところです。  県といたしましては、引き続き各市町や関係機関等と連携・協力し、子ども食堂などの支援の場が子育て支援や多世代交流など幅広い役割を担っていただく場として充実し、広がっていくよう、積極的に取り組んでまいります。(降壇) ◯副議長(高城宗幸君)今井警察本部長。    (警察本部長今井宗雄君登壇) ◯警察本部長(今井宗雄君)広瀬議員の歩行者優先の交通社会構築に向けた取組についての御質問にお答えいたします。  議員御指摘のとおり、警察庁通達を踏まえ、本県においても、信号機のない横断歩道における歩行者優先を徹底する取組を推進してきたところです。  具体的には、関係機関等と連携した各種広報啓発活動の推進に加え、横断歩行者等妨害違反など横断歩道での安全確保に重点を置いた交通指導取締りを強化する「横断歩道は歩行者優先運動」を昨年から展開し、交通指導取締りでは、横断歩行者等妨害違反を一昨年の七割増となる四千八百件余検挙するなど、横断歩行者の保護意識の醸成に努めてまいりました。  また、横断歩道安全利用促進事業として、横断歩道付近に赤色LED回転灯を整備し、運転者に注意を喚起するほか、歩行者を押しボタン信号機まで誘導するおもてなシートの設置等により、交通事故の起きにくい環境整備にも努めております。  こうした取組の結果、道路横断中の歩行者の死者数は、令和元年と比較して、昨年は全国で七百三十七人から六百十四人に約一七%、県内では十二人から七人と約四二%減少するなど、一定の効果が現れているものと認識しております。  しかしながら、歩行者優先の交通社会を実現し、交通事故死者数をさらに減少させるためには、議員御指摘のとおり、歩行者が安全に道路を利用できるよう、運転者へのさらなる意識づけに対する取組や法令遵守のための啓発が重要となります。  このため、県警察では、事業所や一般の運転者に横断歩道での歩行者優先などの模範運転を実践していただくかがわ交通安全パートナーシップを広く募集して、歩行者優先運動を推進するほか、横断歩道付近での注意点等を再現ドラマで分かりやすく説明した新たな交通安全教育用映像教材を本年四月から交通安全講習会等で活用することで、歩行者優先への意識啓発を図ることとしております。  県警察といたしましては、これら諸対策を着実に推進することで、運転者に対する歩行者優先の意識啓発と法令遵守の徹底を図り、悲惨な歩行者事故の抑止に努めてまいります。(降壇) ◯副議長(高城宗幸君)一般質問を続行いたします。  氏家孝志君。    (氏家孝志君登壇、拍手) ◯氏家孝志君 議長のお許しを得ましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。  質問に入るに先立ち、一言申し述べさせていただきます。  今般のロシアによるウクライナへの侵略について、去る三月十一日、本会議において、断固抗議する決議が全会一致で可決されました。  このような力を背景とした一方的な現状変更の取組は断じて容認できないばかりでなく、常日頃より不安定な状況にある我が国が位置する東アジアのバランスをも崩しかねない、極めて深刻な事態であります。  我が国におきましても、国家・国民を守り抜くという強い信念の下、常日頃より、日米を基軸とする同盟関係のさらなる強化に努めるとともに、自分の国は自分で守り抜くとの姿勢を国内外に対して明確に示すため、また、外交交渉を有利に進めるための対外的な抑止力として、さらには、根拠のない対GDP比率に惑わされることなく、国際社会の一員として十分な役割を果たすためにも、国防力のさらなる強化に努めることが大変に重要であることを強く訴えさせていただき、一般質問に入ります。
     質問の第一点目は、農業の維持及び持続的な発展に向けた取組についてであります。  農林業センサスによりますと、本県の農家数は令和二年に二万九千二百二十二戸となり、三万九千七百九十戸であった平成二十二年からの十年間で一万戸を超える大きな減少となっています。また、基幹的農業従事者の平均年齢も七十一・三歳と高齢化が進んでおり、農業従事者の減少や高齢化による農業分野の労働力不足は深刻な状況にあります。  このような中、本県の農業を維持し、持続的に発展させていくためには、県としても、国の施策の方向性や農家の状況等を踏まえ、適切な施策を実施していく必要があります。  そこで、本県の農業の維持及び持続的な発展に向けた取組について、二点お伺いをいたします。  まず、スマート農業の推進についてであります。  県ではこれまで、新規就農者をはじめとした担い手確保に取り組み、新規就農者については令和二年度の実績で百三十四人と、引き続き高い水準を維持しておりますが、それを上回る離農者が発生しており、農業分野における労働力不足を解消するための十分な対策となっているとは言えません。  このような中、県では農業分野の労働力確保のため、外国人技能実習生などの外国人材の活用を進めています。香川労働局が公表している外国人雇用状況の届出状況によりますと、令和二年十月末で、農業分野で外国人を雇用している県内事業所は百八十三か所、外国人労働者数は八百四十五人となっており、多くの外国人材が本県の農業を支えています。  これまでの外国人材としましては、最長五年間の受入れ期間で我が国の技術や知識の移転を図り、発展途上地域の経済発展に寄与することを目的とした外国人技能実習生が主体でありましたが、平成三十年からは人材が不足している産業分野に限って外国人材の受入れを可能とする新たな在留資格である「特定技能」が創設され、農業も対象分野となっています。しかし、転職が可能であることから、国内での獲得競争が熱を帯び、待遇面で有利な首都圏や関西圏の近傍に人材が集中する傾向が見られるなど、本県において、農業分野における人材不足を外国人材で補うことには限界があります。  また、本県農業は、約八百億円の農業産出額のうち、約三割に当たる二百五十億円を野菜が占めるなど、高付加価値な園芸作物に強みを有していることが特徴として挙げられます。一方で、基盤整備が全国に比べて遅れていることもあり、一経営体当たりの経営耕地面積が一・〇七ヘクタールと全国平均の三・〇一ヘクタールに比べて狭小であることや、古来より渇水に悩まされてきた歴史から、水利慣行が複雑であることも特徴の一つと言えます。  このような中、ロボットやAI、ICT等の先端技術を活用したスマート農業は、我が国が人口減少社会に移行する中で、現場の課題を技術で解決し、生産性の向上と人手不足に対応する新たな農業の形として期待されております。国の食料・農業・農村基本計画におきましても、人口減少社会に入り、産業競争力の低下と地域社会の活力低下が懸念されている我が国において、デジタル技術の活用による産業と社会の変革は極めて重要な課題であり、スマート農業の社会実装を強力に推進する必要があるとされております。  私は、本県農業の維持及び持続的発展を成し遂げるためには、国と同じ方向性の下、ICT等のデジタル技術を活用し、本県農業の特色を十分に考慮したスマート農業技術の導入を推進することで、農作業そのものを省力化、効率化することが必要不可欠であると考えております。また、スマート農業の導入を推進することにより、農業に対する重労働や危険といった負のイメージが払拭されれば、若年層を中心とした新たな担い手の確保につながるばかりでなく、外国人材の獲得競争にも打ち勝つことができるものと強く考えております。  そこで、本県農業の特色を十分に考慮したスマート農業の推進にどのように取り組むのか、知事にお伺いをいたします。  次に、小規模な土地改良事業の推進についてであります。  土地改良施設の中でも主要な施設である農業用用排水路は、戦後から高度経済成長期にかけて整備されてきたことから、多くの施設で老朽化が進行しており、全国調査によりますと、約三割の基幹的農業水利施設が標準耐用年数を超過し、今後十年間では約四割に達する見通しであるとされております。このため、これまで以上に計画的かつ効率的な補修・更新等を進めていくことが課題となっておりますが、農業従事者の高齢化や後継者不足等により、農家の農業生産基盤の整備意欲も減退している状況にあります。  また、その原因の一つとして、ため池整備や農業用用排水路整備などの農業生産基盤の整備に当たりましては、各種事業制度を活用するにしても農家負担が必要なことから、高齢農家や後継者のいない農家におきましては、先行きの不安もあり、事業実施への参加をちゅうちょし、整備が進まない現実もあります。  このように、農家負担が原因で土地改良事業を断念するケースも見られ、環境保全や防災・減災対策、優れた伝統文化の継承などの農業農村の多面的機能の維持・発揮が困難な状況に直面していると感じております。こうした中、私の地元まんのう町におきましては、小規模な土地改良事業の農家負担率は二五%であり、特に農業用用排水路の整備に係る農家負担率が高く、近隣の市町におきましても同様に地元負担が高くなる傾向にあり、小規模な土地改良施設ほど整備が進まない現状にあります。  また、土地改良事業の実施による利便性・安全性の向上は、農家のみならず、混在する非農家の方々に対するメリットも非常に大きく、例えば、ため池の防災対策は地域住民の方々の安心・安全な生活環境に資するものであり、農道改修は、農家のみならず通行される方全てに利益を与え、農業用用排水路につきましては、一般住民の排水路としても活用されるなど、農業生産性の向上のみならず地域の生活環境の改善等にも役立っております。  そこで、土地改良事業をより一層推進していくため、小規模な土地改良事業における農家負担の軽減にどのように取り組んでいくのか、知事にお伺いいたします。  質問の第二点目は、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けた取組についてであります。  気温上昇等の気候変動は、大雨や洪水などの自然災害を引き起こし、農作業や自然生態系、さらには経済・社会システムにまで悪影響を与えるなど、地球規模での深刻な問題となっています。  地球温暖化の原因は、大気中にCO2などの温室効果ガスが増加し、地表面の温度が上昇することにあるとされており、政府は二〇二〇年十月に、二〇五〇年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルを目指すことを宣言いたしました。昨年五月には地球温暖化対策推進法が改正され、二〇五〇年までのカーボンニュートラルの実現が基本理念として明記されるとともに、国民、国、地方公共団体、事業者等が密接に連携して温室効果ガスの排出削減に取り組むこととされています。  また、昨年十月に閣議決定された地球温暖化対策計画におきましては、二〇五〇年のカーボンニュートラル実現に向けた中期目標として、温室効果ガスの排出量を二〇三〇年に二〇一三年度比で四六%削減することを掲げており、産業部門や業務部門、家庭部門などの部門ごとに、二〇三〇年度における温室効果ガスの排出削減・吸収量の目標が設定されております。  このような国の動きを受け、本県におきましても昨年十月、令和七年度までの中期的な計画である香川県地球温暖化対策推進計画を策定し、計画の最終年である令和七年度までに三三%の温室効果ガスの排出を削減するという目標を掲げたところであり、省エネ住宅の普及促進など、目標達成に向けた施策に取り組むこととしています。  しかしながら、この計画では、部門ごとに温室効果ガスの排出量の現状は記載されているものの、部門ごとの削減目標や必要な取組内容の具体的な記載はなく、どの部門で、誰が、いつ、どのように何%の温室効果ガスの排出を削減すればよいのかが見えていない状況にあります。また、計画で示された削減目標は非常に高い目標であり、事業者や家庭など幅広い部門からの御協力をいただかなければ、到底達成できるものではありません。  一方で、カーボンニュートラルへの急激な流れを受けた産油国の生産調整によって、原油価格は世界的に高騰しており、特に地方においては、運送業や農林水産業などの業種を中心に、多くの事業者が経済的に大打撃を受けております。  これらの方々に御協力いただくためには、排出削減に取り組むことで得られる費用対効果を明確にお示しし、施策の有効性を十分に御納得いただくことが必要であり、これらについて、行政としての説明責任をしっかりと果たすべきであると考えております。そのためには、県自らが、削減目標の達成に向けた具体的なロードマップを描き、産業部門や家庭部門など、部門ごとの具体的な目標数値(KPI)をお示しした上で、PDCAサイクルによる進捗管理を入念に行い、適切な施策を講じていくことが必要であると強く考えております。  そこで、本県として、二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現に向け、温室効果ガスの排出削減目標を達成するため、部門ごとの目標数値(KPI)の設定をどのように行っていくのか、また、どのように進捗管理を行い、削減目標の達成状況を確認していくのか、さらに、具体的にどのような施策を講じていくのか、知事にお伺いをいたします。  質問の第三点目は、観光資源としての香川の食の振興についてであります。  新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、様々な産業分野に影響が及んでおりますが、観光業や飲食業は特に大きな影響を受けております。県では、時間短縮協力金や新うどん県泊まってかがわ割など、その時々の感染状況に応じた必要な施策を講じることにより、県内事業者を支援してまいりましたが、今年に入ってからの県内での感染拡大に伴い、県下にまん延防止等重点措置が適用されたこともあり、観光事業者や飲食事業者にとっては依然として大変苦しい状況が続いております。  そのような中ではありますが、今後の新規感染者数の減少や新型コロナウイルス感染症の収束後を見据え、ポストコロナの時代に回復が見込まれる観光需要を確実に取り込み、本県の観光産業を振興するための次の一手を用意していくことが重要であると考えております。  日本交通公社が公表した「旅行年報二〇二一」によりますと、旅行の動機としましては、「旅先のおいしいものを求めて」が最も多い六五・九%であり、次いで、「日常生活から解放されるため」が六三・五%と続きます。  近年、消費者のニーズがモノ消費からコト消費に移り変わっていると言われますが、観光産業においても、地域ならではの文化や歴史、自然といった地域資源を活用した体験型の観光コンテンツへのニーズは高まっております。中でも、食は、旅に欠かせない楽しみとして重要なコンテンツであり、時には旅の目的そのものになっております。  さて、本県の食といえば、何をおいても、まずは讃岐うどんであります。新型コロナウイルス感染症が拡大する以前は、連休ともなれば県内の有名うどん店には、うどん店巡りを目的とした県外観光客の長い行列ができていました。このように、讃岐うどんは、香川県の地域資源を生かし、観光客を呼び込むことができる食のコンテンツではありますが、うどんだけでは観光消費額は小さく、地域経済に大きな効果を及ぼすほどではありません。観光需要を地域経済の活性化につなげていくためには、当然ながら、観光消費を増加させなければなりません。  令和二年香川県観光客動態調査報告によりますと、県外観光客一人当たりの観光消費金額は、宿泊観光客で二万四千五百二十四円、日帰り観光客で六千三百二十九円となっており、そのうちの飲食費は、宿泊観光客で三千九百十八円、日帰り観光客で千五百八十二円となっており、これは決して大きな額とは言えません。観光消費を増加させていくためには、本県ならではの地域資源を生かし、観光客を引きつける魅力のある観光資源としての香川の食を振興することが必要であると考えております。  近県を見渡しましても、高知県のカツオのたたきや愛媛県のタイ飯、広島県のカキや山陰のカニなど、魅力的で高付加価値な食は数多くありますが、本県にも、これらに決して引けを取らない瀬戸内海の地魚やオリーブ畜水産物、さぬき讃フルーツなどの本県ならではの魅力的な食材が多くあります。また、うどんにつきましても、これらの食材と組み合わせることなどにより、高付加価値化を図ることも十分に可能であると考えております。  私は、これらの地域資源を生かし、観光客がわざわざ食べに行きたくなるようなユニークで魅力的な食を観光コンテンツとして開発し、県内外に積極的にPRしていくことで、観光客数の増加や県内観光消費額の増加につなげていくことが重要であると考えております。また、本県を訪れていただける目的となり得る食の開発に当たりましては、「香川に来ればこれ」と言っていただけるように、的を絞った取組が重要であると強く考えております。  そこで、観光資源としての香川の食の振興に、どのように取り組んでいくのか、知事にお伺いをいたします。  質問の第四点目は、建設業における担い手の確保・育成についてであります。  香川労働局が公表した今年一月の県内の有効求人倍率は全体で一・五二倍となっておりますが、これを職業別に見ると、最も低い事務的職業では〇・六七倍、二番目に高いサービス業でも三・三七倍であるのに対し、建設業は突出して高い六・四〇倍となっております。これは、約七人分の求人に対して一人の求職者しかいないということであり、これからも分かるように、建設業は他の職業に比べても特に深刻な人手不足の状況にあります。  また、総務省の労働力調査の中で、年齢層別に建設業の就業者数を見てみますと、六十五歳以上の就業者は二〇一〇年には四十二万人であったものが、二〇二一年には八十二万人に増加し、逆に、二十五歳から三十四歳の若年層は九十万人から六十四万人に減少しています。これは、建設業が就職先として若者に選ばれておらず、高齢化が急速に進展していることを示していると言えます。  建設業は、公共工事の実施などにより、社会基盤を支える非常に重要な産業であります。このまま建設業における人材確保が困難な状況が続けば、建設現場での働き手が不足するだけではなく、次の世代への技能継承もできなくなり、将来的には、社会資本の整備や災害復旧が立ち行かなくなることも懸念されております。  建設業が就職先として選ばれなくなった背景には、きつい、汚い、危険といったいわゆる三Kや、休みが少ないといった負のイメージが先行しており、若者から敬遠されているものと考えております。  また、収入面の基礎となる公共工事の設計労務単価につきましては、今年三月からは、全国全職種の平均で一日当たり二万一千八十四円となっております。また、年収ベースでも、国土交通省が推計した建設業の男性生産労働者の年間賃金総支給額は四百五十万円程度となっており、他の職種に比べて低いものとなっています。  そもそも、設計労務単価の基礎となる労務費は、人手不足となっている現状での調査に基づくものであり、そこから導き出される単価では、人材が集まるはずはありません。私は、人材が確保できる水準に設計労務単価を引き上げることが必要であり、県としても設計労務単価の改善に取り組むべきであると考えております。  さらに、建設業の労働者は、日給月給の給与体系で働く方も多く、工事日程が雨や台風などの天候に左右され、不規則な勤務となることや、工事の中断が長引いた場合などには収入面で安定しなくなることも、建設業が敬遠される要因の一つであると考えております。  また、休みが少ないという負のイメージを払拭するためには、週休二日制の定着も重要な課題となりますが、そのためには、休日が増えたことによるしわ寄せが生じないような適正な工期の設定や、工期の延長による人件費やリース代金などの経費増に対応した適正な請負代金の設定、ICT化による生産性の向上などが必要であると考えております。特に、ICT化の推進につきましては、例えば、遠隔操作の拡大による危険性の除去など、建設業界に付きまとう三Kイメージの払拭にもつながり、より若者に選ばれる職種になることも期待できます。  このような中、県としましても建設業の担い手を確保するため、高校生を対象とした現場体験会や、建設業者への求人活動費への補助などの支援を行っていることは承知いたしておりますが、建設業の担い手を確保・育成するためには、若者にとって魅力のある職種となるよう、労働者の収入や勤務条件などの処遇改善を実現することが必要不可欠であり、そのためには、行政が現場目線に立ち、公共工事における処遇改善に真剣に取り組んでいくことが必要であると強く考えております。  そこで、建設業における担い手の確保・育成のために、公共工事における設計労務単価の引上げや週休二日制の定着、三Kイメージの払拭など、建設業における処遇改善にどのように取り組むのか、知事にお伺いし、私の一般質問を終えさせていただきます。(拍手、降壇) ◯副議長(高城宗幸君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)氏家議員の御質問にお答えいたします。  まず、農業の維持及び持続的な発展に向けた取組のうち、スマート農業の推進についてであります。  農業分野の労働力不足が進む中、省力化や生産性の向上など、生産現場の課題解決に有効なスマート農業を推進していく必要があり、その推進に当たっては、農業者や地域が抱える課題や経営戦略に応じて、適切な農業技術を選択・導入し、効果を最大限に活用できるよう取り組むことが重要と考えております。  議員御指摘の本県農業の特色を踏まえた取組としましては、耕地面積の四割を占める水稲について、狭小な農地や特殊な水利慣行により、水管理や防除作業などの負担が大きいことから、今年度より、農業試験場において、水管理の自動化システムの実証を行い、省力化や品質向上の効果を検証するとともに、農業機械メーカーやJA等と連携し、防除用ドローンやリモコン式草刈り機等の実演会を開催し、ロボット技術の導入を推進しております。  また、本県の強みである高品質な園芸作物について、その強みをさらに生かせるよう、ICTを活用して生産性向上や技術継承を図るデータ駆動型農業を推進しており、これまで、イチゴの栽培環境データを見える化し、勘に頼ることなく効率的に生産できるシステムの開発・実証に取り組んできたところであり、今年度は、若手農業者やJA等と連携しながら、各地域において研修会を開催する等、産地での普及に向けた取組を進めております。  さらに、こうした取組を広く普及させるため、農業者や外国人技能実習生等がスマート農業技術や機器に直接触れるセミナーを積極的に開催するほか、課題となる導入コストの低減を図るため、担い手への農業機械の導入助成の対象とするとともに、来年度から新たに、農業者による共同購入や共同利用への支援も行ってまいりたいと考えております。  私といたしましては、本県農業の実情に応じたスマート農業技術の導入を一層促進し、農業者の経営安定や産地の持続的な発展につなげてまいります。  次に、小規模な土地改良事業の推進についてであります。  県ではこれまで、事業の重点化やコスト縮減を図りながら、国の補助事業を可能な限り活用して、効果的かつ効率的な基盤整備を推進してまいりました。  一方、農業者の減少や高齢化、農業構造の変化など、農業を取り巻く環境が変化する中、農業水利施設等が老朽化し、更新時期を迎えており、農家負担が増加することで、事業に取り組めない場合もあると認識しております。  議員御指摘の国の補助事業の対象とならない小規模な土地改良事業につきましては、事業主体である市町が、事業の性格や地域事情等を考慮しながら農家負担率を設定しているため、市町により負担率が異なる状況となっており、また、事業によっては、受益農家数が少なく、一戸当たりの負担が大きくなる場合もあり、事業が進まない状況も見られております。  このため、事業の実施に当たっては、必要性や効率性、維持管理までの総合的なコスト縮減などを検討した上で、受益農家数等も踏まえながら、農家負担率をきめ細かに設定する必要があると考えており、県といたしましては、各市町と十分協議を行い、農家の負担が過度なものとならないよう努めてまいります。  また、事業を単体で行うのではなく、地域全体の農業振興計画の実現に向けた施策と連携させ、総合的な基盤整備事業の中に位置づけることで、国の中山間地域総合整備事業や経営体育成基盤整備事業などの補助事業の活用を検討するなど、事業執行に当たり、農家負担が軽減できるよう創意工夫しながら進めてまいります。  私といたしましては、今後とも農家負担の軽減に配慮しながら、各市町とも連携して、地域のニーズを踏まえた農業基盤整備を計画的に推進し、本県農業・農村の持続的な発展につなげてまいります。  次に、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けた取組についてであります。  本県の地球温暖化対策は、香川県地球温暖化対策推進計画に基づき取組を進めており、計画では、温室効果ガス削減目標について、県民、事業者、行政が一体となって取り組む必要があるとの考えから、県全体としての削減目標を設定するとともに、施策ごとに進捗状況をはかるための指標を設定したところであります。  また、目標達成に向けては、各指標の進捗状況や部門ごとの温室効果ガス排出量の推移を把握するとともに、来年度策定を予定している各主体の取組を包括的にまとめた温暖化対策の中長期的な工程表と併せて、毎年、PDCAサイクルによる見直しを行いながら、適切に進捗管理を行ってまいりたいと考えております。  一方、具体的な取組を進めるに当たっては、温暖化対策は多岐にわたる施策に取り組む必要があることから、私を本部長とする香川県脱炭素・地球温暖化対策本部を設置して、全庁を挙げて取り組むこととし、来年度当初予算についても、温暖化対策推進計画の体系に沿って、六億二千万円余の予算を計上したところであります。  また、各主体が一体となって取組を進めていく必要があることから、来年度、市町や産業、金融、運輸、エネルギーなど各分野の主要団体の代表者等で構成される香川県地域脱炭素推進協議会(仮称)を設置し、工程表の策定や見直し、各主体間の連携強化などを図っていくこととしており、それぞれが脱炭素を自らの日常生活や事業活動の一環として捉え、主体的に取り組んでいけるような環境を醸成してまいりたいと考えております。  私といたしましては、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向け、県民の皆様や事業者の方々の御理解と御協力をいただきながら、鋭意取組を進めてまいりたいと考えております。  次は、観光資源としての香川の食の振興についてであります。  議員御指摘のとおり、食は旅に欠かせない楽しみであり、観光客数や観光消費額の増加を図るためには、本県ならではの食を観光コンテンツとして開発し、積極的にPRしていく必要があると考えております。  このため、県では、本県を訪れた観光客に鮮度や品質にこだわった香川の食を楽しんでいただけるよう、オリーブ畜水産物や地魚など、優れた県産食材を使った料理を提供する飲食店を「さぬきダイニング」として認定し、香川の食の魅力発信を行っており、特に、昨年度から開始した「かがわの食」Happyプロジェクトでは、国内外からの観光客に向けた食や県産品の情報発信を強力に進めているところであります。  また、来年度は、瀬戸内国際芸術祭二〇二二に来県される観光客に向けて、オリーブ牛をはじめとするオリーブ関連食材や四季折々の新鮮な地魚を使った特別メニューをさぬきダイニングや県内の飲食店で提供するキャンペーンを展開するとともに、昨年度、中国料理団体との連携により誕生した讃岐餃子などの新たな御当地グルメについても積極的にPRし、讃岐うどんだけではない香川の食の魅力が、SNSなどでの口コミや再来訪につながるよう取り組んでまいります。  さらに、旅行商品としては、今年度、観音寺市の伊吹いりこや東かがわ市のひけた鰤など、県産の旬の食材を現地で味わうことができる体験型コンテンツを造成し、オンライン上で販売しており、来年度は、食などの観光コンテンツの造成とともに、新たに割引キャンペーンを実施するなど、販売強化に取り組んでまいります。  私としましては、引き続き観光客に向けて、わざわざ食べに行きたくなる香川の食を提供することにより、観光関連産業の回復・振興につなげてまいります。  なお、そのほかの御質問につきまして、土木部長よりお答え申し上げます。(降壇) ◯副議長(高城宗幸君)西川土木部長。    (土木部長西川英吉君登壇) ◯土木部長(西川英吉君)氏家議員の建設業における担い手の確保・育成についての御質問にお答えいたします。  議員御指摘のとおり、建設業においては、若年入職者が大きく減少する一方、高齢化が進み、優良な社会資本整備の担い手としての役割を果たすには、これまで以上に入職環境を整えることが必要不可欠であると考えております。  県ではこれまで、建設現場で働く技能労働者の処遇改善等を図るため、公共工事設計労務単価の引上げをはじめ、週休二日制モデル工事や余裕期間設定工事の試行、建設現場の生産性向上につながるICT活用工事の導入等を行うほか、若年層における建設業への理解や関心を図るため、建設業の魅力を伝えるパンフレットを配布するなど、様々な対策を講じているところであります。  来年度は、これまでの取組に加え、ダンピング受注の防止につながる低入札価格調査基準価格や最低制限価格等の引上げを行うとともに、週休二日の実現に向けて、四国地方整備局や市町等と連携し、毎月第二土曜日を四国地方における全工事統一休業日とする取組を進めるほか、技能労働者の就労履歴や資格などを登録・蓄積し、技能・経験に応じた適切な処遇につながる建設キャリアアップシステムの利用を、一般競争入札における総合評価の評価項目に加え、その普及促進を図ることとしております。  県といたしましては、インフラ整備やメンテナンスはもとより、災害時の対応など重要な役割を担う県内建設業が、持続的かつ安定的に発展できるよう、その担い手の確保・育成に向けて、引き続き建設業における処遇改善に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。(降壇) ◯副議長(高城宗幸君)理事者の答弁は終わりました。  本日の一般質問を終局いたします。    ───────────────────────────── ◯副議長(高城宗幸君)以上で本日の日程は、終了いたしました。  次会は、三月十六日午前十時本会議を開きます。なお、議事日程は、追って報告いたします。  本日は、これをもって散会いたします。                          午後二時五十七分散会 Copyright (c) Kagawa Prefectural Assembly Minutes, All rights reserved....